スカイラインは北米でも売れていない?
ならば海外で成功を収めたのかといえば、そうでもないのだ。2013年頃までは、北米市場において、インフィニティG35が月3000~5000台を販売していたが、アルティマなどは2万台前後を売っていたから驚くに当たらない。2014年以降は2000台前後に下がった。
現行型のQ50も、北米ではおおむね3000台前後だ。直近では1年間に約4万台、1か月平均3300台くらいで推移する。手堅く稼げる車ではあるが、かつて1990年代中盤に、9代目(R33型)スカイラインは日本国内だけで年間4~6万台を登録していた。
海外で成功して「日本のスカイラインが世界のインフィニティに成長した」とはいえないだろう。スカイラインとしても、インフィニティとしても、中途半端な存在になっている。
スカイラインはまさに時代を先取りしたクルマで、1970年代の前半にピークを迎えた。そして4気筒と6気筒を作り分け、ボディはセダンとクーペがあり、ホイールベースも4種類という車作りが共感を呼んだ。
スカイラインという世界の中に、いろいろな価値観が共存して、多くのユーザーから支持を得た。4気筒を購入して、次は2Lの「GT」、さらに2LでSUツインキャブレターの「GT-X」という具合に、スカイラインの中でストーリーのある乗り替えができることもユーザーには嬉しかった。
クルマにはストーリーやドラマが不可欠だ。スカイラインはそれを失って売れ行きが下がり、さらに海外向けになって絶望的な状態に陥った。
今のスカイラインのフロントグリルには、日産ではなくインフィニティのエンブレムが装着されている。
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