路線、高速、コミュニティ等々、色々なバスの呼び方に含まれるのが「シャトルバス」だ。バスにシャトルを冠する場合、なにか特別なルールはあるのだろうか。
文・写真:中山修一
もっぱらピストン輸送専用がそのルート?
シャトルバスと聞かれれば「駅からイベント会場にタダで行くやつ」みたいな乗り物を連想するかもしれない。
普通の路線バスなら、終点で降りた人の目的や行き先はバラバラだ。一方でシャトルバスは、往路の終点がテーマパークやイベント会場など特定の施設に限定されていて、乗客の誰もが共通の目的を持って同じ場所へ向かうイメージを抱く。
終点の施設がオープンしている時間帯に、15分や30分おきなどコンスタントにバスが行き来するピストン輸送の運行形態が採られているのも、ざっくりとしたシャトルバスの印象だ。
出発点と終点の間に立ち寄る停留所がないノンストップ運行である点や、運賃が無料であるのも欠かせない要素と言えそうだ。
実際の「シャトルバス」はどうなのか
では「シャトルバス」と名乗るためには一定の条件を満たす必要があるのだろうか。まず法律で決まっているか否かが重要なカギだ。
調べてみると、国としてはバスの種類の中にシャトルバス(主に送迎目的)の記載はあるにせよ、シャトルバス自体の定義については全く触れられておらず、法律上の決まりは特になかった。
次に、バスの運営者が「シャトルバス」と称している各種バスをランダムに50件(路線)選んでみた。正確な統計を取るにはサンプルの数が少ないが、この50件のうち、どんな場所や施設に向かうのかを抽出すると…
観光施設:9件
ホテル:7件
病院:6件
空港:6件
大学:5件
ショッピングモール:3件
入浴施設:2件
スキー場:2件
イベント施設:2件
アミューズメント施設:2件
役所:1件
……のようになった。やはり特定の施設へのアクセスに使われる交通手段をシャトルバスと命名する傾向が強い。
しかし上記を合わせても45件しかない。残りの5件はどこへ向かうのか? 実はレギュラーな路線バスとあまり変わらなかったりする。
細かく分ければ、2件が郊外〜町の中心部へのアクセス用、3件はテーマパーク“にも”立ち寄る路線バスとなっている。
そういった、施設などを特定しない目的地を行き来するバス路線を「シャトルバス」と呼んでも、実際のところ差し支えは無いわけだ。