2月10日には日本のあちこちで雪が降った。もしそんな中クルマで出かけたとしたら、この週末は洗車を考えよう。見た目が汚いからじゃない。路面に撒かれた凍結防止剤がボディを傷めるためだ。凍結防止剤は首都高や幹線道路でも撒かれるから、都市部のドライバーも油断禁物なのだ!
文/ベストカーWeb編集部、写真/首都高速、Adobestock(トビラ写真=One@Adobestock)
■下回りを中心にクルマ全体をまんべんなく洗うべし!
雪国では、道路の雪対策としてさまざまな対策を講じている。センターライン付近から水を撒く消雪パイプや、温水や熱線で雪を解かすロードヒーティングなどが一例だが、一番大活躍するものといえば、凍結防止剤(=融雪剤)だろう。
凍結防止剤といっても、なにやらすごい化学物質ではなく、簡単にいえば塩。中学で物質の三態を学んだとき、水に食塩を入れると凝固点(液体が個体になる温度)が下がるという実験を覚えている人は多いはず。凍結防止剤には塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウムなどがあるが、凝固点が異なるだけで原理はあれと同じ。雪に塩を加えて凍りにくくすることが狙いなのだ(塩化カルシウムは水と反応すると発熱するので特に極寒地に向く)。
気を付けてほしいのは、この凍結防止剤、雪国だけじゃなくてあちこちで使われるということ。たとえば東京都内でも、ホームセンターで買ってきて家の前に撒く人もいるし、幹線道路に警察車両が散布することだってある。首都高にいたっては大量に保有していて、勾配区間でのスリップ軽減などに役立てている。
ところがこの凍結防止剤、塩だけに困ったことがある。クルマに付くと金属部分のサビを促進させてしまうのだ。タイヤが巻き上げる凍結防止剤混じりの雪は、下回りやもちろん足回りやホイールの内側にこびりつき、じわじわとボディを蝕んでいく。島しょ部や沿岸地域のクルマが潮をかぶると傷みが早くなるというが、それと同じことが凍結防止剤で起きてしまうのだ。
というわけで結論。雪道を走ったらなるべく早くクルマを洗おう。洗車機に突っ込むだけではダメで、クルマの下回りを高圧水で洗い流す必要がある。市販の高圧洗浄機やコイン洗車場を使うのが手軽だが、カーケアショップで下回り洗浄コースがあればそれを利用してもよい。
もし自分でやる場合は、漫然と下回りを洗うのではなく、サスペンションのアーム類やダンパー回りの汚れを入念に落とそう。ホイールやタイヤハウスの内側も忘れないこと。それが終わったらボディ全体を洗う。特にタイヤの巻き上げで汚れるボディ側面やリアバンパー周辺には気を配ろう。
雪は降ってる最中だけじゃなく、降った後も何かと面倒。クルマにもちょっと愛情を注いで、雪のダメージから復活させてあげよう!
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コメント
コメントの使い方雪国で整備士をしていますが、やはり下回りや足回りの痛み具合は凄いですよ…メーカーやユーザーの使い方によって変わってきますが。
中古車として非降雪地域から仕入れた車の下回りを見ると、ある程度年数が経った車でも、新車同様のコンディションでいつも驚いてしまいます。