愛知の名古屋ボデーが製作した平ボディは、荷台に「Vカット」と呼ばれる特殊な床を採用しているのが特徴。鋼材運搬用トレーラでおなじみのVカット床を単車の平ボディに採用するのは非常に珍しいことだが、どんな狙いがあるのだろうか? 「日本一愛されるボデー屋」を志す名古屋ボデーのノウハウが詰まった渾身作に迫る!!
文・写真/トラックマガジン「フルロード」編集部
※2022年12月12日発売「フルロード」第47号より
無事故の誓いのVカット
今回の「Vカット床平ボディ」は愛知県東海市の運送会社「マルタアマゾン」が導入した。同社は名古屋市の総合物流企業「丸太運輸」の子会社で、大手鋼材メーカーの線材コイル、丸棒、ロールといった鋼材製品を納品先に届けている。
車両はトレーラがメインだが、トレーラが入っていけないような場所(主に狭い場所)では大型単車の平ボディが活躍。今回のクルマは、数年前に発生した走行中の平ボディから線材コイルが転がり落ちてしまう事故を受けて開発されたもので、「今後絶対に事故を起こさない」という誓いを込めて床に線材コイルが転がりにくい「Vカット」を採用したものだ。
鋼材運搬トレーラの一部で採用されるVカットを単車の平ボディに採用するのは過去になかったわけではないが、今回はVカットの「ある問題点」を打ち消すべく名古屋ボデーがアイデアを捻出。これにより安全性、積載効率、ドライバーの負担軽減という三拍子が揃った平ボディが実現したという。
その「ある問題点」とは、床から突き出したVカットがトランスミッションケースなどに干渉するというもの。過去に他社が製作したVカット床平ボディは、この干渉を避けるため荷台前方(トランスミッション上部)にVカットを配置しない構造となっていたという。
だが、それだと荷台前方はデッドスペースとなってしまい、積載効率が良くない。そこで今回、名古屋ボデーは床の高さを上げてからVカットを設置するというアイデアを提案。。名古屋ボデーが専用設計した横根太で床を持ち上げた上でVカットを配置する、これまでにないVカット床平ボディが完成した。
いっぽう、線材コイル以外の積み荷を運ぶ際にVカットを塞ぐ「埋め戻し材」は、木材だと重さが50〜60kgあってドライバーの負担になる。そこで今回は発泡剤をベニヤ板で囲ったものに最強塗料「LINE-X」を施工したものを採用。まだ強度テスト中だが、片手で持てるぐらい軽く、かつ強度も問題なさそうとのことである。