福岡空港は最近、門限問題で話題になったが九州の中心的な国際空港としての地位はゆるぎないものがある。バスの便も福岡県内に限らず都市間高速バスが九州各地から連絡する。ところがとうとう同じ福岡県内の北九州からの連絡バスが3月24日限りで廃止され、福岡空港直結から切り離される。
文/写真:古川智規(バスマガジン編集部)
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■福岡におれる空港連絡バスの歴史
北九州市と福岡空港とを結ぶ空港連絡バスの歴史は古く、まだ九州自動車道や福岡都市高速道路が全通していない時代から、西鉄の小倉-福岡空港間の連絡バスは存在した。
福岡市内の天神や博多駅に向かう都市間高速バスとは別系統で運行され、乗降時間短縮のためトランクを使用しない代わりに、運転席後ろに荷物スペースを設置した専用車て空港利用者の便をはかった。
そして戸畑・黒崎からの系統も開設され、さらには九州自動車道が全通したことにより小倉南区を経由する(現在のなかたに号の経路)系統もでき、北九州市内全域から福岡空港連絡網が完成する。
国鉄末期にはこれに対抗しようと早朝にエアポートライナーを設定して、博多駅からの地下鉄連絡で定時制と速達性や割引乗車券を設定するなどして巻き返しを図ったが、定着に至らず後に廃止されている。
福岡都市高速道路が空港付近まで延伸するまでは福岡ICから一般道経由で乗り換えなしでの連絡を提供していたが、渋滞には悩まされ定時制は怪しかったものの、それを便数でカバーしてきた。
現在の新・北九州空港が開港し、東京へのジェット機による直行便や近隣アジアへの国際線が就航すると、小倉や八幡西区から連絡バスを出すが福岡空港の豊富な発着便数を代替するものではなく、東京便の補完に過ぎない北九州空港連絡バスは小倉線は福岡空港に行くよりも時間が短縮されそれなりの乗降がある。
一方、八幡線は当初は北九州市営と西鉄バス北九州が共同運行したものの、西鉄が先に撤退し北九州市営単独運行になった。
その北九州市営も赤字の垂れ流し状態に陥り八幡線からは撤退、再度西鉄が単独で運行を担当して経路を若干変更しても、乗車は低迷し押し付け合いのような状態になり現在に至る。
■福岡空港は徐々に衰退していった
そうしているうちに運転士不足が先なのか、乗客低迷が先なのかはともかく、福岡空港線を徐々に減便していき、福岡(天神)線の便数確保を優先させるような状態になってきた。
コロナの影響もあり、完全に空港線は閑古鳥状態になったのは仕方がないとしても、北九州-福岡空港線は小倉南区・博多駅を経由して福岡空港国際線ターミナルに乗り入れるわずかな便だけが残るダイヤになっていた。
それでも天神ではなく博多駅から乗車できるメリットはあったのだが、便数が少なく利用しにくい路線になってしまった。
空港利用者も国際線ターミナルに発着したのでは結局、空港内で国内線ターミナルに行く連絡バスに乗車しなければならなくなり、乗り換えなしのメリットは失われ乗客は減少の一途をたどった。
■そして完全廃止へと追い込まれてしまった
こうして北九州-福岡の都市間高速線も以前と比較して相当な減便をしているが、空港線は完全に廃止されることになった。
これで福岡空港に高速バス直結で行くことは不可能になり、北九州市から福岡空港を利用するには天神行の高速バスやJR鹿児島本線、または山陽新幹線からさらに路線バスまたは地下鉄に乗り換えるしかなくなった。
本稿とは直接の関係はないが、下関-福岡線の空港延伸区間も廃止される。西鉄運行便は天神経由博多駅発着、サンデン交通運行便は天神までの運行になり、こちらも福岡空港への連絡には乗り換えが必要になる。