まだまだ朝晩は冷えるものの、日中は穏やかで暖かい日が多くなってきました。春になり、雪のシーズンが終われば、スタッドレスタイヤを履いていたクルマはサマータイヤへと戻すことになりますが、スタッドレスタイヤへと履き替えるときには「危ないから」と急いで履き替えるものの、サマータイヤへの履き替えは(スタッドレスタイヤでもとりあえず走行には問題がないことから)なかなか面倒なもの。そのせいか、初夏のころになってもスタッドレスタイヤで走行しているクルマを見かけることがあります。
もちろんスタッドレスタイヤでも走れないことはないのですが、やはりデメリットはあります。スタッドレスタイヤを春になっても履き続けることのデメリットについて考えてみましょう。
文:吉川賢一
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写真:Adobe Stock、写真AC
スタッドレスタイヤは、サマータイヤよりも制動距離が長くなる
昨今のスタッドレスタイヤは、ドライの高速走行でもしっかりと走行できるように開発されているため、一年中履きっぱなしのまま過ごすことができてしまいます。しかしスタッドレスタイヤは、雪道やシャーベット状の路面などに強い反面、ドライ路面ではサマータイヤと比べて弱点があると、スタッドレスタイヤを製造しているブリヂストンやトーヨータイヤなどのタイヤメーカーも指摘しています。
そのひとつがウェット路面を苦手とすることです。スタッドレスタイヤには、雪面に浮いている水分を吸着する特殊な配合のゴムと、雪面を引っ掻くサイプ(細かい溝)がトレッド面に刻まれていますが(雪道ではメリットとなる)、雨の日など路面が濡れているときには、タイヤと路面との間の水膜を排除きれず(地面とタイヤの間に水分が残りやすい)、サマータイヤと比べて、ブレーキを作動させてから止まるまでの距離である制動距離が延びる傾向にあります。
制動距離が延びることは、それだけ事故のリスクが高まるということ。雨の日に、サマータイヤならぶつかることなく止まれたのに、スタッドレスを履きっぱなしにしていたために、ぶつかってしまう…ということも考えられるのです。
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