クルマの車検(自動車検査登録制度)のステッカー(検査標章)の貼り付け位置が、2023(令和5)年7月より変更となる。従来の「前方から見やすい位置」から「前方かつ運転者席から見やすい位置」へと変更することで、無車検運行を防止しようというもの。
「無車検運行」とは、車検が切れた状態のクルマで走行することだが、国土交通省がナンバー読取装置による無車検車両実態調査をしたところ、ナンバーを捕捉したクルマ38万9668台のうち、およそ0.27%にあたる1083台が車検切れの状態で走行していたという(平成28年度調査、札幌市・広島市・松山市・福岡市・那覇市の計5か所の国道で実施)。
では、車検が切れた状態で走行していると、どのようなことが起こるのか。車検ステッカーの貼り付け位置変更を機会に確認したい「無車検車」の実態と恐怖について考えてみよう。
文:吉川賢一
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写真:Adobe Stock、写真AC、国土交通省
車検切れは「一発免停」
ご存じのとおり、「車検」とは、クルマが安全・環境基準に適合しているかどうかを、国が一定期間ごとにチェックするもの。車検を受け、有効な自動車検査証の交付を受けていないクルマを運転した場合、道路運送車両法第58条の違反となり、違反点数6点、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金という重い罰則・罰金が科される。違反点数6点ということは、一発で免許停止30日となってしまう非常に重い処分だ。
車検切れということは、ほとんどの場合、自賠責も切れている
ただ、車検が切れているということは、毎回車検のタイミングで手続きをする自賠責保険も切れている可能性が高い。自賠責保険(共済)とは、万が一の人身事故の際に、基本的な対人賠償を確保することを目的に、原付含むすべてのクルマに加入が義務付けされているもの。物損事故は対象とならないが、人身事故を起こしてしまった場合、自賠責保険の補償限度額内で保険金が支払われる(さらに任意保険に加入していれば、自賠責保険の補償限度額を超えた部分も、任意保険の保険会社が支払ってくれる)。
自賠責保険は加入が義務付けられた強制保険であるため、加入していない状態でクルマを走行させれば(無保険運行)、自動車損害賠償保障法第5条の違反となり、1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科され、こちらも違反点数6点で、即座に免許停止処分(30日)だ。また、自賠責保険の証明書を所持していなかっただけでも、30万円以下の罰金が科される。
繰り返しになるが、車検が切れている状態というのは、自賠責保険も切れている可能性が高い。無車検運行と無保険運行の両方で違反すると、違反点数については、道路交通法施行令によってもっとも重い違反点数が適用され、罰金と罰則については刑法併合罪によって、懲役または禁錮については、重いほうの1.5倍、罰金については合計以下が科されることに。つまり違反点数は6点、1年6か月以下の懲役または80万円以下の罰金、ということになるのだ。
コメント
コメントの使い方車検満了日と自賠責保険の満了日は同じ日にはならない。自賠責は開始日から2年と12時間、3年掛けてもプラス12時間になっている。だから新車登録時でも登録する日に自賠責の開始日を設定すれば36ヶ月で十分。
ステッカーの貼り付け位置を変えただけで無車検が減るとは思えないな。
位置の変更は本当に余計だ。視界の邪魔になるし。