マツダが2023年3月17日、同日に開催された取締役会で毛籠勝弘氏が2023年6月より新しい代表取締役社長兼CEOに就任することを発表した。現代表取締役社長兼CEOの丸本明氏は退任し、相談役に就くという。5年ぶりの社長交代で毛籠新体制となるマツダのクルマ作りはどう変わっていくのか、探ってみた。
文/永田恵一、写真/ベストカー編集部、マツダ
■北米マツダのCEOなどを歴任
1957年8月生まれの現代表取締役社長兼CEOの丸本氏は現在65歳と高齢というわけではないのに加え、社長交代の噂もなかっただけに、トヨタの社長交代ほどではないにせよ電撃的な人事であった。毛籠新社長の経歴は以下のようなものだ。
毛籠新社長は1960年11月8日生まれの63歳。1983年にマツダに入社し、2002年にグローバルマーケティング本部長、2004年にマツダモーターヨーロッパGmbH副社長に就任、2008年にはグローバル販売統括補佐、グローバルマーケティング担当の執行役員に昇格。
2013年からは常務執行役員として営業領域総括、グローバルマーケティング、カスタマーサービス、販売革新を担当し、2016年には専務執行役員に昇格、アメリカマツダ社長兼CEO、会長兼CEOを2021年前半まで務めた。
なお、マツダは2020年と2021年に各々アメリカ専用車として2.5Lターボを搭載した4WDとなるマツダ3ターボや、ワイルドなキャラクターを持つミドルSUVとして好調なCX-50を投入しているが、この2台の投入は毛籠新社長の意向を強く反映したものだったと言われている。
2021年には日本に戻り、取締役専務執行役員としてコミュニケーション、広報、渉外、管理領域総括を担当、2022年には担当にサステナビリティ分野が加わり、現在に至っている。
■社長交代でマツダはどう変わる?
筆者は、はじめの2台は中古車という形になるが、NB型2代目ロードスターとRX-8、デミオ(現在のマツダ2)ディーゼルを生涯初の新車として購入している。つまり、やや強引ではあるが1990年代、2000年代、2010年代のマツダ車を自分のものとしており、今欲しいクルマの1台はロードスターNR-Aという隠れマツダファンである。
そんな筆者が時代ごとにマツダ車を思い出すと、1990年代はバブル崩壊やあの「5チャンネル制」の失敗による後遺症からの再建の時期だった。そういった環境下で開発されたクルマだけに2代目ロードスターは偉大な初代モデルの正常進化版という成り立ちでエンジンの古さは否めなかったが、それでも大切に育てられたクルマという印象だった。
2000年代に入ると2002年の初代アテンザからマツダは社内が攻めもできるような経営状態に回復。特に2003年登場のRX-8は日産にとっての2002年のフェアレディZ復活のような、ロータリーエンジン存続というシンボル的な存在だった。
2000年代後半は経営状況など、マツダはちょっと厳しい状態だった。その流れを変えたのが2011年の先代型3代目デミオのマイナーチェンジを皮切りに、2012年のCX-5以降のクリーンディーゼルが牽引車となったSKYACTIV戦略だった。
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