行政の効率化と国民の利便性の向上を目的に、住民票を持つすべての人に割り振られている12桁の個人番号が「マイナンバー」だ。一部ニュースなどでも取り上げられたためご存じの方も多いかと思うが、そのマイナンバーが記載された顔写真入りの「マイナンバーカード」とクルマの運転免許証を一体化するという動きが、ここにきて加速する兆しを見せている。運転免許証との一体化が始まる具体的な時期はいつなのか、そのメリットやデメリットは?……など、気になる話題について探ってみた。
文/井澤利昭、写真/写真AC
いつからスタートする!? マイナンバーカードと運転免許証の一体化とは
お得なポイントが得られる「マイナポイント事業」の後押しもあり、一気に普及が進んだ感のある「マイナンバーカード」。総務省が発表した資料によると、2023年3月の時点で9499万399人もの人がマイナンバーカードの交付申請を行っており、これは住民基本台帳に基づく人口の75.4%に上るという。
本人確認のための証明書として利用できるのはもちろん、住民票などの公的証明書をコンビニにある端末から手軽に取得できたり、e-Taxなど、電子証明書を利用した電子申請ができるなど、これ1枚でさまざまな行政サービスが受けられるようになるマイナンバーカード。
すでに申し込みの手続きが始まっている健康保険証としての利用などと同様に、当初から想定されてきた案のひとつが運転免許証との一体化だ。
これは、免許番号や交付日、有効期限、免許の種類といった情報をマイナンバーカードのICチップに登録することで、マイナンバーカードを運転免許証としても利用できるようにするという取り組み。
2024年度末の実施を目安に進められているとも言われてきたが、昨年10月に行われた会見で、担当大臣である河野太郎デジタル相が「前倒しして進めたい」という趣旨の発言をしたことで、その開始時期がさらに早まるのではないかと注目を集めている。
免許証に関わる各種手続きがスピーディ&カンタンに! 一体化によるメリット
では、マイナンバーカードと運転免許証との一体化によって、我々ドライバーにはどのようなメリットがもたらされるのであろうか? 具体的な内容についてはいまだ検討中ということもありはっきりとはしていないものの、まず考えられるのが、引っ越しなどによる住所変更や結婚などで名前が変わるといった、記載事項を変更する際のワンストップ化だ。
現状、マイナンバーカードと運転免許証の記載内容を変更する場合、市役所などの自治体と警察署や免許センターという二つの窓口に別々に出向き、それぞれで変更の申請を行わなければならない。一体化が実現することで、この変更手続きを自治体のみで済ませることができ、警察署や免許センターでの手続きは不要となる。二度手間がなくなることで仕事や学校で忙しい日常生活のなかから時間を工面し、それぞれに出向く苦労が少なからず解消されるというわけだ。
また、免許証の発行や更新、返納といった手続きが全国どこからでもできるようになるという案もあるようだ。現在もゴールド免許証の優良運転者であれば居住地をまたいだ運転免許証の更新は可能ではあるものの、受付が免許証に記載される有効期間より1カ月短いその年の誕生日までだったり、郵送交付を選択すると交付までにかなりの時間を要するなどデメリットも多い。
マイナンバーカードとの一体化によりオンライン上でのデータを共有がさら進み、これら手続きのサービス向上や合理化、迅速化などが期待できる。
加えて優良運転者を対象に、運転免許証更新時の講習がオンラインで受けられるサービスなども検討されており、これに関してはマイナンバーカードと併用するカタチでのモデル事業として、一部地域ですでに試験的な実施が開始されている。
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