e-POWERがガソリン車と同価格に!? 日産の電動化戦略が期待大

■目玉はレアアース使用量削減とインバーターの高出力高密度化

これまでにも、駆動用モーターEM57はリーフ、E13ノート、セレナ、キックス等で共用、サクラのフロントモーターMM48も、ノート、オーラ、エクストレイル等のリアモーターで共用している
これまでにも、駆動用モーターEM57はリーフ、E13ノート、セレナ、キックス等で共用、サクラのフロントモーターMM48も、ノート、オーラ、エクストレイル等のリアモーターで共用している

 ただ、BEVとe-POWERユニットの共通化については、これまでも行っている。

 たとえば駆動用モーターEM57はリーフ、Eノート、セレナ、キックス等で共用。サクラのフロントモーターMM48も、ノート、オーラ、エクストレイル等のリアモーターで共用しているなど、方向性が変わったわけでも目新しい技術であるわけでもない。

 筆者が今回の発表で期待をもったのは、プレゼン資料の隅に小さく記載されていた「コア技術の進化」だ。

 ひとつは、動力用モーターに使われる希土類(レアアース)の使用量削減だ。レアアースは中国への依存度が高く奪い合いになるため、コスト低減が難しい材料。

 他メーカーでも、モーターに使用するレアアースを削減し、中国依存を少しでも解消しようといった動きがある。

 日産は「磁石材料の進化」と「モーター磁気カイロの最適化」などの研究技術によって、レアアース使用量を2011年の初代リーフの100%に対して、2019年時点で25%を達成しており、さらに今後1%以下へと削減することを狙うという。

 もうひとつが、インバーターの高出力高密度化だ。基板小型化、パワーモジュール小型化、そして、損失低減を狙ったSiC材料の採用など、細かな技術を積み上げて高出力高密度化を狙う。

 日産はこれに加えて、2021年に発表した「熱効率50%」を達成する究極の発電専用エンジンや、長らく温めている全個体電池技術など、ゲームチェンジャーとなりうる「隠し玉」をいくつか持っている。

 今回の発表の中ではそれらの進捗についての報告はなかったが、粛々と製品化を進めていると期待され、既存の電動車の性能を、ごぼう抜きする可能性があるのだ。

■24年登場の新型リーフから採用か!?

現行リーフの価格は408万1000円~583万4400円。次期型では手頃な価格での登場に期待したい
現行リーフの価格は408万1000円~583万4400円。次期型では手頃な価格での登場に期待したい

「X-in-1」の採用時期および車種については、筆者は2024年頃登場と予想している新型リーフからではないかと予想している。

 現在のリーフは、40kWhが408万円~、60kWhが525万円~と、補助金前提としても安くはない(2022年12月に価格改訂。以前は40kWhが370万円~。60kWhが422万円~)。

 中国の格安BEVまででなくとも、リーフと同じ車格となるCセグメントハッチのガソリン車の適正価格(250万~350万円)の次元までは到達したいところだ。

 今回のプレゼンでは、頻繁に、「e-POWERやBEVは、運転がスムーズ」とアピールしていたが、BEVやe-POWERの走行性能については、ユーザーに既に伝わっているはず。

 今回の発表にあったように、3年後の2026年にe-POWER車がエンジン車と同等の車両コストに到達でき、さらにインバーターの高出力高密度化などによって圧倒的な性能向上が実現すれば、日産の躍進に大きく貢献できる。

 筆者が期待しているのは、マーチクラスのコンパクトなBEVを、補助金なしで税込250万円~300万円にて出すこと。

 コンパクトBEVといえば軽の「サクラ」があるが、バリエーションの拡充は必要であり、軽じゃないけど使いやすいサイズであるマーチクラスのBEVをこの価格で登場させることができれば、よりユーザーの裾野を広げることができるはず。

「2030年度までに19車種のBEVを含む27車種の電動車を導入」とする日産。今後が非常に楽しみだ。

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