■エロすぎて絶滅したS-MXさん(ホンダ・2002年絶滅)
みんなオレのこと「エロいクルマ」とか「エッチすぎる」とか言うけど、それって失礼ですよ。確かに前後のベンチシートを倒せばちょうどセミダブルサイズのベッドになるし、そこからスッと手を伸ばした場所にティッシュボックスの収納スペースは作りましたよ。で、それをエッチ方面に活用させることもぶっちゃけ意図してましたよ。
でもそれはオレの個性の一部であって、すべてはないわけですよ。オレ的には、オレはあくまでも実用的で手頃なサイズのクリエイティブ・ムーバーであることが誇りなんですから。
でも正直……若者の性欲をナメてたね。あいつらがソッチ方面の使い方ばっかりするもんだから、すっかりそのイメージが強くなっちゃって、大人世代には毛嫌いされて売れず、結局オレ、絶滅しちゃいましたから。
もうね、人間の性欲と食欲は絶対にナメたらダメだと痛感しましたよ。
■流行に乗り遅れたエクシーガさん(スバル・2018年絶滅)
我ながらホレボレするわぁ、この乗り心地……。「ブームなのに、ウチにはミニバンがないぞ!」ってことでスバルが開発して、満を持して2008年に発売されたのが私ですわ。あのね、私はいいクルマですよ。
誰も言ってくれないんで自分で言いますけどね。「食い過ぎたレガシィ」だって?
やかましいわ。私の売りウリはそこじゃないんで。でもね……とにかくタイミングが遅かったですわ。
ミニバンブームに乗っかろうと思ったんでしょうが、私が出た時にはもうロールーフミニバンって下火でしたから。さらに“エコカー”がブームになりかけた時期に、(NAもあるけど)カタログ燃費12.0km/hの2Lターボですから、「そりゃ売れねえだろ」って私自身思いますよ、あはは。
最後はクロスオーバー7に改良されましたけどね、背が高いスライドドア付きが好きな皆さんには、見事に届きませんでした。
■車格ダウン→人気ダウンで絶滅 bBさん(トヨタ・2016年絶滅)
初代bB(以下、初代)「おう、久しぶり。調子はどや?」
2代目bB(以下、2代目)「こんちは。絶滅しました」
初代「……聞いてへんで。ていうかジブン、よう見るとビミョーに華奢なカラダやな」
2代目「先代はヴィッツがベースですけど、ボクはパッソがベースですからね」
初代「そやったっけ? ジブン、室内はむしろワシより広いから忘れとったわ」
2代目「骨格がショボい分、室内を無理やり広げたんです」
初代「……そやったな」
2代目「先輩の内装はシンプルだからカスタムしやすかったけど、ボクのはトヨタさんが最初からそれっぽい内装にしちゃいましたしね」
初代「トヨタのガキャあ、いらんことしよって」
2代目「でもまぁもういいんです。ボクはダイハツCOO君とスバルDEX君と3人で、純正オーディオで『神田川』聴きながら、中古車屋さんで余生を過ごしますから」
初代「ジブン、顔は相変わらず派手だけど、性格はドえらい暗くなったのう……」
■「ホンダスポーツ」になりきれなかったCR-Zさん(ホンダ・2017年絶滅)
評価が“定義”によって変わる場合がありますよね。で、これは私にも当てはまる話なんですよ。
もし私が「スポーツカー」として評価されたなら、確かにパワーもトルクも今ひとつで、高揚感も足りません。でも「ハイブリッド車のひとつ」として見るなら、スポーティで楽しいクルマかもしれないじゃないですか?
ということで冷静に自己分析してみると……やっぱダメか。スポーツカーとしては今ひとつだと我ながら思いますし、フツーのハイブリッド車として使うには、後席が劇的なまでに狭くて、後方視界もイマイチ。そんでもって荷物もあんまり載りませんし。ま、絶滅すべくして絶滅したということですわ。どっちつかずな私ですみませんでした。
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