ある車種が生産終了(絶滅)となる理由は、基本的には「売れなくなったから」というシンプルなものです。では、なぜ売れなくなるか? といえば、主には「時代の流れに伴ってユーザーの嗜好や社会背景が変わってしまったから」ということになります。これはもう商業製品としては致し方ない話であり、誰を責めるべきものでもありません。
ですが……なかにはそのようにやむを得ない理由で絶滅したわけではない、トンチキでトンパチな“愛すべき絶滅車種”もあるものです。
冷静に考えれば絶対に売れなさそうなコンセプトに対して、なぜかフルスイングをカマしてしまったモデル。あるいは、いろいろ考えすぎて逆に自滅してしまったモデルなどが、そんな“愛すべき絶滅車種”に該当するでしょう。
ということで、ここでは“わけあって”絶滅した10車種の絶滅理由を、そのクルマ自身に(?)語ってもらうことにします!
※本稿は2019年2月のものです
声の出演:ベストカー編集部/写真:ベストカー編集部
初出:『ベストカー』 2019年3月10日号
■地球温暖化で絶滅したセラさん(トヨタ・1994年絶滅)
パブリカ「1961年でも8月の東京の平均気温は26.8度だったけど、キミの時代は?」
セラ「1990年8月の平均が28.6度でしたね。東京で」
パブリカ「地球温暖化だね」
セラ「ですね~。おかげでボクも絶滅しましたし」
パブリカ「そうなの? たった1.8度の差じゃない?」
セラ「ボクみたいな「グラスキャビン」には、その1.8度がデカいんですわ」
パブリカ「そういえばビニールハウスの中より暑いとか」
セラ「エアコンありますけどね、追いつかないんですよ」
パブリカ「そりゃ絶滅もするよね~……って、最初からわかってた話じゃないの?」
セラ「だと思うんですけど、なぜかそのまま発売されちゃったんですよね~」
パブリカ「大トヨタも、たまにワケわかんないね~」
セラ「そこが可愛いとも言えるんですけどね~。まぁ、んなこと言ってる間に絶滅しちゃいましたけどね~」
■大和民族の草食化により絶滅したセリカさん(トヨタ・2006年絶滅)
私の人生は常に日本男児の熱き魂とともにあった。私は街道レーサーたちの心をとらえ、同時に世界ラリー選手権などのシビアな実戦にも投入された。そしてデートカーとしても活躍させてもらった。
しかし1999年、私はデートカーとしてのみ生きることになった。私はそれでも構わないと思った。だが、その時代の男たちはもはや草食動物的な顔つきで女子と手をつなぎ、電車に乗っていた。
私は絶滅した。だが今後、かつての私の役割は、新型スープラ君が果たしてくれるのかもしれない。
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