世紀末に勃発!! 意地とプライドをかけたトヨタ対ホンダ「HV燃費バトル」つわものどもの夢の跡…

世紀末に勃発!! 意地とプライドをかけたトヨタ対ホンダ「HV燃費バトル」つわものどもの夢の跡…

 ガソリン1リッター当たり10km走ればそこそこの燃費と評価されていた世紀末。トヨタによる世界初の量産ハイブリッドカー「プリウス」の登場によりその常識は大きく覆された。“エコロジー”なエンジン+モーターの搭載による28km/L(10・15モード)という従前の2倍近い燃費性能はドライバーたちを驚かせるに十分だった。

 するとその2年後、ホンダから今度は世界一の燃費性能を謳う「ホンダ・インサイト」が発売された。その燃費はプリウスを凌駕する35.0km/L(10・15モード)! 

 以降、量産ハイブリッドカーで先行した両社は熾烈な燃費バトルを繰り広げていくことになり、お互いを強烈に意識しながらライバルの燃費をいかに上回るかで徐々にエスカレート。ついにはたったコンマ1、ライバルの数値性能を上回るための“燃費スペシャル”グレードまで生み出すに至った。

 ここではそんな仁義なき燃費バトルで両社が繰り出した、涙ぐましいまでの努力を振り返ってみたい。

文/藤井順一、写真/トヨタ、日産、ホンダ、ベストカー編集部

燃費数値至上主義の口火を切った「トヨタ・プリウス」

意地とプライドをかけた戦い! トヨタとホンダの「ハイブリッドカー燃費バトル」がスゴすぎる!!
空力を考慮したフロントセクションや床下のフラット化により、Cd値0.30の空力性能を備えて1997年にデビューした初代プリウス

 元祖量産型ハイブリッドカーであるプリウスの開発プロジェクトは、1992年にトヨタ社内における“21世紀のクルマ”の検討として始まった。その目標は資源問題、環境問題に対する解答として「燃費向上は最低でも100%」。これによりガソリンエンジンをモーターでアシストするハイブリッドカーの構想が決定した。

 それまでハイブリッドカーはパラレル方式とシリーズ方式のいずれかになると考えられていた。前者はエンジンの補助としてモーターの動力を駆動に用いるもの、後者はエンジンを発電のために使用し、モーターを駆動させるものだ。

 トヨタが1995年に発表した「プリウスコンセプトカー」のパワーユニットも、ガソリンエンジンをモーターでアシストする「TOYOTA EMS(ENERGY MANAGEMENT SYSTEM)」というパラレル方式だった。

 だが、1997年の東京モーターショーで満を持して発表されたプリウスが搭載したのは、THS(TOYOTA HYBRID SYSTEM)と呼ばれる、スプリット方式またはシリーズ・パラレル方式を組み合わせた画期的なハイブリッド機構だった。

 これは発進など低速時にはモーターのみを駆動し、高速走行ではエンジンを駆動させることでモーターとエンジンを特性に合わせて効率的に運用しつつ、減速時の回生ブレーキでバッテリーの充電を担うというもの。これにより28km/L(10・15モード)という当時としては驚異的な燃費を達成した。

 また、58psの1.5リッターエンジンと30Kwの電動モーターの組み合わせによる次世代車でありながら215万円というプライスタグも後押しとなりプリウスは大ヒット。「21世紀に間に合いました。」というコピーそのままの革新的モデルとなった。

 丸みを帯びたフォルムと愛嬌のあるフロントマスクはユーザーに寄り添うデザインであると同時に、空気抵抗の低減が意図されており、ホイールは超軽量な鍛造のアルミホイールにわざわざ空気抵抗低減のための樹脂製のホイールカバーまで装着。細部まで車格に不釣り合いな装備がおごられるなど、全方位で燃費向上を追求する姿勢が垣間見られた。

次ページは : 「ホンダ・インサイト」がプリウスに立ちはだかる!

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