レクサスESとマツダアテンザ一刀両断 和製FFサルーンに未来はあるか!?【水野和敏が斬る】

■アテンザのインテリアは「+100万円」の価値アリ

 アテンザの室内は初期型と比べるとずいぶんと洗練された印象ですが、カーナビモニター画面が今の時代からすればちょっと小さく感じます。

 メカニカルな指針式の丸形メーターは可もなく不可もなく。見やすさはあります。

 インパネ表皮は質感の高い合皮を使っていて、ステッチの使い方もよいと思います。センターコンソールにもソフトパッドが使われているし、形状的にも高級サルーンの雰囲気を演出していてよいです。

現在の流行からすればナビ画面の小ささが目立つアテンザ。しかしながらインパネなどは価格を感じさせない質感で高評価

 シートはちょっと化繊表皮の織り方を変えて滑りを減らしてほしいですが、全体としては悪くないです。

 見た目に安っぽさを感じさせない質感を作りだしているのは上手です。室内の雰囲気は350万円クラスのクルマとは思えません。

 450万〜500万円クラスの雰囲気を上手く演出しています。

 後席は乗り込み時のシル段差も小さく、足元スペースにも余裕があって居住性は良好。大型のセンターアームレストにはカップホルダーやUSBポートなどが備わっていて頑張っていると思います。

 インテリアは「設計者の力」を感じます。プラス100万円分ほど高く見せている仕立てです。トランクルームも奥が深く容量はたっぷりあって使い勝手がいい。

 トランクはESよりも大きい。ESは後席下にハイブリッドバッテリーを搭載することもあり、フロアが高く容量自体も小さいです。

 タイヤサイズはスポーツ感を演出するESの235/40R19に対しアテンザは225/55R17と小さいですが、この狙いのセダンだったらこの仕様のほうが、操安や乗り心地や騒音面などのバランスはいいと思います。

 ブレーキサイズは両車ともにほとんど同じ。むしろアテンザのほうがローター径は大きく見えます。

 レクサスESのインテリアはカムリとはずいぶんと違っていてレクサス風味です。今風に進化したという印象。

現代的なディスプレイを備えるレクサスES。まさにレクサスらしさを表現しているが、カムリとの違いをうまく表現できるようになった

 機械式に動く単眼式メーターはレクサス車のアイデンティティ。センターにかけて広がる横長のモニター画面は大きく、現代的。

 表示もクリアで高級感を演出しています。ステアリングのデザインや握り部の革の使い方などもカムリとは違えていてしっかりと差別化されています。

 ステアリングヒーターは嬉しい装備です。シートもいいです。カムリのシートもいいと評価しましたが、表皮の質感なども含めてさらによいシートです。

 カムリと基本プラットフォームを共通に開発されたクルマとは思えない。トヨタはレクサスの作り方が本当に上手になりました。

 後席は想像どおりです。カムリで広さは充分わかっていたので、なんの問題もありません。

 足元は広く、頭上スペースも充分です。「格段によいか?」と聞かれたら、それほどではないですが、「ダメ」という部分がありません。

 ちなみにレクサスES Fスポーツの価格は629万円で、今日の試乗車はオプションが付いて合計約700万円。アテンザの倍の価格です。

 この価格差をどう受け取るか? ですが、それはユーザーの好みの選択肢にお任せします。

 つまりアテンザはバリュー感の高いセダンで賢い買い物! ESは高級でラグジュアリー感を味わえるプレミアムサルーン。

 両車共によく考えられていて、頑張って作り上げていると思います。


 次回はいよいよ試乗! 水野和敏氏みずからステアリングを握って走った結果、両車の意外な実力がわかった!!

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