■NSXはめっぽう高いが性能も高い
こうして並べてみると、300psオーバー車のCO2排出量は200g/kmがひとつの境目のように思える。それよりも少なければよく、高ければ悪い。あくまでもイメージにすぎないが、そういう境界線が頭に浮かぶ。
その境界線で話を進めるなら、NSXの優秀さは群を抜いている。187.2g/kmはランキングでは8位だが、エンジンパワーは507psもあり、モーターと合わせたシステム出力は581psに至る。それでいてこの数値の低さは驚異的といえるだろう。
しかし、車両価格は2370万円。凄いのは確かだが、一般ユーザーが購入対象にできる価格ではない。
そこで注目されるのがスバルの水平対向4気筒、2Lターボエンジンを積むレヴォーグとWRX S4だ。
ハイブリッドではない普通のガソリンターボだが、燃費効率に効く直噴エンジンということもあり、CO2排出量は176g/kmに抑えられている。
スバルの水平対向エンジンは、構造上、低速トルクを出しにくいショートストロークとなるため燃費が弱点とされているが、300psクラスでは優秀であることを実証している。
今後スバルは1.5Lと1.8Lのダウンサイズターボを主力としていくことになっており、パワーとエコ性能の両立がさらに進むことが期待できそうだ。
■ダウンサイズターボは有効なのだが……
CO2の排出量が200g/kmを超えるものの、レクサスGS350&RC350、アルファード/ヴェルファイア3.5も悪くない。直噴とポート噴射を兼ね備えたD-4Sシステムを採用することで、215〜217g/kmと比較的低めに抑えられている。
また、純ガソリンターボエンジンのレクサスLS500はV6、3.5Lツインターボ、422psのハイパワーでCO2排出量は228g/km。従来のV8、5L NAエンジンに置き換えたエンジンだが、このレベルのパワーになってもダウンサイズターボが有効なのがよくわかる。
ちなみに、GRスープラのCO2排出量は未発表だが、同じ3Lツインターボエンジンを積む兄弟車のBMW Z4 M40iは165g/kmと発表されている。GRスープラの数値がその近似値になるとすると、日本のオーバー300ps純ガソリンエンジンのトップに躍り出ることになる。
このように将来性を感じさせる純ガソリンエンジン車も散見されるが、そうはいってもEU2021年規制の目標値であるCO2排出量95g/kmと、その後さらに強化される目標値にはほど遠い数値ばかりだ。やはり、これからはハイブリッドやプラグインハイブリッドが不可欠のアイテムとなっていきそうである。
クルマの電動化はエコカーだけでなく、ハイパワー車にも避けられそうにない。上の表で下位に沈んでいるクルマたちは、もはや絶滅危惧種ということになる。
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