トヨタの佐藤新社長がラブコール!! スポーツモデルの代名詞「セリカ」の復活はあるのか?

■エディ・マーフィーのCMが印象的なモデル

ST185セリカGT-Four
ST185セリカGT-Four

 T180系は1989年に登場。起伏に富んだ曲面を多用した個性的なエクステリアデザインが特徴でした。CMキャラクターに起用されたエディー・マーフィーの「ぬう・せれか!」(と確かに言っていた)がやたら印象に残っています。

 プラットフォームは先代GT-Fourをベースにしていますが、サスペンション回りの剛性アップが図られ、またリヤデフにトルセンLSDが装備されたことで、トラクション性能の強化が図られています。

 搭載する3S-GTE型エンジンも225ps/31.0kgmにパワーアップされました。
セラミックタービン+ツインエントリーターボの効果によってレスポンスとパワー(&トルク)アップが図られていますが、パワーの伸びの良さだけでなく、レスポンスが良くトルクバンドの広いエンジンに仕上がっていました。

 操縦性は、基本的な特性はそのままにST165GT-Fourよりグリップレベルが1ランク上がり、グリップしている様子が明瞭にかんじとれるようになっています。

 またタックインで穏やかに向きを変えていたリヤのスライドも少なめになって、クルマがぐいぐい前に進むようになりました。先代GT-Fourと比べ、より実践的な速さを身につけたという印象があります。

 ちなみに、WRC用ホモロゲートモデルとして5000台限定生産されたGT-Four RCは性能の安定性、整備性を考慮して水冷インタークーラーとメタルタービンを採用。

 パワーこそ235psとパワーアップしていますが、ターボラグが大きくクセが強めでした。ブーストアップやミスファイアリングシステムなどを使うことでよりその性能が引き出せる、競技用ベース車で、グループA時代ならではのモデルでした。

 WRCでは、そのGT- Four RCで1992年にカルロス・サインツがドライバーズタイトルを獲得。翌93年にはユハ・カンクネンによってドライバーズタイトルとマニュファクチャラーズタイトルを獲得しています。

■セリカ復活はあるのだろうか?

ST205セリカGT-Four
ST205セリカGT-Four

 6代目(1993~1999年)となるT200系はWRCでの華々しい活躍は見られなかったものの、セリカをさらに一歩進化させたモデルでした。

 スーパーストラットを採用したのがこのモデルの特徴で、市販車としては秀逸と言っていい出来映えでしたが、ラリー競技ではセッティングの難しさがネックとなって、デビューイヤーとなる1994年シーズン前半はST185GT-Fourで戦うなど思うような活躍を見せることができませんでした。

 また1995年シーズンはリストラクター不正問題でWRCポイントをはく奪されるなど 不遇なモデルでした。ポテンシャル自体は高かっただけに残念です。

 といった具合に、セリカGT-Fourは、特にラリーシーンで大活躍したモデルでした。今のトヨタのモータースポーツの主軸の一つは間違いなくWRCです。

 そのためにGRヤリスを投入し、またラリーコンペティションマシンを強くイメージさせるGRカローラ、同モリゾウエディションも作り出しています。とすれば、このプラットフォーム、パワーユニットを使ってセリカGT-Fourを生み出すのはそう難しい話ではないかもしれません。

 冒頭に触れた北米でのセリカの登録商標の期限を考えると、水素エンジン車を搭載するには少々時間がなさすぎます。他の選択肢として考えられるとすれば、ハイブリッドスポーツか、BEVも考えられます。

 ハイブリッドの4WDモデルで考えると、プリウスPHEVベースにした4WDモデルはもしかしたら可能性ありかもしれません。

 新型プリウスPHEVは積極的にリヤを駆動するようプログラムされており、燃費のプリウスからプレミアムハイブリッド(PHEV)へと進化していますから、バッテリー容量に余裕があるPHEVをつかって、さらにリヤモーター出力を高めたハイブリッド(PHEV)スポーツというのも考えられなくはありません。

 ただ力作プリウスの存在感を薄くしてしまうようなことをするかどうか。

 BEVで考えるなら、bZ4Xベースが順当だだと思いますが、出力的には少々物足りない転は否めません。新規作成には微妙に時間が足りないのでEVの線は薄目ではないかと思います。

高いスポーツ性で定評のあるGRヤリス
高いスポーツ性で定評のあるGRヤリス

 2025年までと発売時期を考えるなら、やはりもっとも現実味がありそうなのはGRヤリスのパッケージングをベースにしたモデルが可能性は高そうに思えます。もちろんこれから発売するのにそのまま搭載したのでは芸がないので、何らかの仕掛けはしてくるのではないかと思われます。

 考えられるのはエンジンを水素燃料対応、あるいは合成燃料対応にしてカーボンニュートラル時代を見据えたスポーツカーという線はあるかもしれません。いずれにしても、ハイパフォーマンスなスポーツカーとなりそうなセリカの復活に大いに期待したいところです。

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