ホンダe 市販確実!キュートなデザインで話題沸騰!?航続距離200kmの勝算

 センセーショナルな登場となったホンダの新型EV、ホンダ e。どこかクラシカルな佇まいと、後輪駆動というクルマ好きも思わず飛びつきそうな構成のEVだ。

 2019年秋の東京モーターショーでも出品されるとみられ、2020年頃には市販されることが確実なこのクルマ。

 話題沸騰中のクルマではあるがひとつ気になることがある。それが航続距離が「200km」ということ。

「たった200kmと」と捉えるべきか「200kmも」と捉えるべきか。ホンダeの航続距離にEV界での勝算はあるのだろうか?

 BMW i3のオーナーであり、EVを知り尽くしたプロに聞きました。

文:片岡英明/写真:ホンダ、編集部


■ホンダeはEVとしても非常に楽しみなモデル

 地球の温暖化に大きな影響を与えるCO2(二酸化炭素)の排出量を減らそうと、世界各国の自動車メーカーは本気の取り組みを見せている。

 走行中にCO2を出さないゼロエミッションビークルとして、再び注目を集めているのがEV(電気自動車)だ。

まさかの市販化まで発表されたホンダe。コンセプトとはいえほぼそのままの形で市販されるという

 モーターを動力源とするEVは、次世代のホープと言われている。CVCCでエコカー、クリーンカーの先陣を切ったホンダも早い時期からEVの基礎研究を行っていた。

 そして2019年3月のジュネーブショーでワールドプレミアし、お披露目したのがEVの「ホンダeプロトタイプ」だ。

 これは2017年秋のフランクフルトショーでベールを脱ぎ、10月の東京モーターショーにも持ち込まれた「アーバンEVコンセプト」の発展型である。

こちらがベースになったアーバンEVコンセプト。どことなくかつてのホンダのあの名車に似ている?

 初代シビックを思わせるルックスの台形デザインを採用し、乗り降りしやすい4ドアにハッチゲートを組み合わせた。

 新設計のEV専用プラットフォームを採用し、駆動方式は後輪駆動のFRだ。タイヤは17インチで、前後は異サイズとしている。

 カメラを内蔵した薄型のドアミラーも目をひく。

 ホンダは2025年までにヨーロッパで発売する4輪のクルマすべてを電動車両にすると表明している。

 その先鋒となるのが「ホンダe」だ。ボディサイズは3900mm程度だが、全幅は1700mmを超え、3ナンバー車になる。

 ホンダの関係者がコメントしているように、このプロトタイプは、ほとんど形を変えることなく量産に移されるはずだ。

 ヨーロッパでは今年の夏から予約を受け付け、秋には生産が開始される。日本での発売は20年になるだろう。

 気になるパワートレインは、クラリティと同じモーターを使っている。フロア下に敷き詰めたリチウムイオンバッテリーの容量体積は不明だ。

 が、実際の電費に近いWLTPモードでの航続距離は200km以上と発表された。となると電力量は30kW程度だと思われる。

■航続距離200kmは実用に耐えうるのか?

 航続距離が200kmだと不安感を抱く人が多いだろう。だが、BMWのi3(レンジエクステンダー)を所有し、4年間、5万km以上走った経験から述べると、大きな不満ではないし、日常のシーンで困ることはほとんどない、と断言できる。

 愛車は初期モデルで、22kWのバッテリー容量だが、これまでの平均電費はエアコンを作動させて7.2km/kWhだった。

EVで大きな課題になるのが航続距離。200kmという航続距離は、日本市場でEVがなかなか浸透しない現状を見るとどう評価されるのか

 単純計算で電気だけで158kmは走ることができる。30kWのバッテリーを積んでいれば216km走れる計算だ。

 ただし、誰でも達成できる電費ではない。航続距離を延ばすためには、EVの特性に合わせた運転が必要になる。

 それでも8掛けで170km以上は走れる計算だ。不安なく150km以上の距離を走れるのは大きな魅力である。

 買い物や病院通いなど、近場でしか乗らないという人には選択肢のひとつになるだろう。初代のリーフやi3、i-MiEVと比べても安心感は絶大だ。

 EVの特徴は、ダイレクトにパワーとトルクが盛り上がることである。タイムラグなしに直線的に加速するのだから気持ちいい。

 体感的には2Lクラスのガソリンターボを凌ぐ力強い加速フィールだ。しかもモーターだから静粛性は群を抜いて高い。

航続距離458km(カタログ値)となるリーフe+。航続距離がバッテリー技術の革新で伸びる車種も多いが、今後は充電時間の短縮化も課題になる。リーフはホンダeとはまた別の持ち味になりそうだ

 ホンダeはエアロダイナミクスも優秀に見えるから、高速走行を続けても静かだろう。

 ただし、高速クルージングは回生ブレーキを使う機会が少ないから、電費はあまりよくならない。

 また、アクセルを深く踏み込まなければならない登坂路も苦手だ。平坦路が多いほうがトータルの電費を計算しやすい。

 得意とするのは街中や郊外の道である。下り坂ではアクセルを早めに戻して回生ブレーキを作動させ、発電を行ってバッテリーに充電を行う。

 郊外の空いた道で電気の流れが加速でも回生でもない電力消費ゼロの空走状態(コースティングにして電費を稼ぐこともできる。

 登り坂は苦手だが、登りがあれば下り坂があり、ここではエネルギー回生が可能だ。
 走るステージや運転する季節によっても電費は変わってくる。

 冬場はヒーターを使うので電費が悪くなりがちだ。ヒーターほど電力を消費しないが、夏場のエアコンもマイナス要因になる。

 だが、積極的に走っても150km以上の距離を走れれば不安感はほとんどない。この距離を一気に走る人は少ないだろう。

 休憩タイムのときに急速充電器を使って30分ほど充電すれば、航続距離は250kmくらいまで延ばせる。

 ちょっとの余裕と時間があれば、不安なくロングドライブを楽しめむことができるのだ。

■割り切った航続距離でEVの新たな在り方を求める

 本田技術研究所のラージプロジェクトリーダーを務めている人見康平さんはホンダeプロトタイプの狙いとターゲットユーザーを語っている。こう語る。

「航続距離は、長ければ長いほどいいとは思います。このクルマは、航続距離に対しては割り切った部分がありますが、毎日の使用で50km以上を走る人はそれほど多くないのです。

 携帯電話のように1日に一度は充電する人や週に2、3度の充電で足りる人には最適な乗り物になるでしょう。

 従来のクルマの延長線上ではない、新しい価値観に共感できる人には魅力的な存在と感じられるはずです」。

EVの販売が重要になる中国市場の影響もありホンダはEV開発に一層力を入れている。中国ではヴェゼルベースとなるEV「VE-1」を発表。日本への導入も期待したい

 最近はガソリンスタンドが減り、地方では自宅から10km以上離れていることも珍しくない。

 これとは逆に急速充電器は増え続けているし、少しの出費で200ボルトの普通充電器を設置することが可能だ。

 充電インフラが整っていて、使う範囲も限られている人にとっては魅力的なEVと感じられるはずである。

 気になるのは、航続距離よりも販売価格だ。手が届く価格なら大ブレイクする可能性を秘めている。

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