1秒遅いのに記録更新? シビックTYPE Rのニュルブルクリンク・タイムアタックってどうなってんの?

■ニュルブルクリンクが公式タイムアタック区間を決めた

北コース(ピンク線)とグランプリコース(黄色線)の接続部分。スタート地点が手前になった(赤線部分)ためラップタイムが延びた(GoogleMapから作成)
北コース(ピンク線)とグランプリコース(黄色線)の接続部分。スタート地点が手前になった(赤線部分)ためラップタイムが延びた(GoogleMapから作成)

 そんな中、6代目シビックTYPE Rが見事タイム短縮に成功したのだが、記録を見てみるとおかしなことに気付く。今回の記録は7分44秒881。5代目TYPE Rの記録7分43秒80よりおよそ1秒遅いのだ。なぜ記録更新なのか?

 その答えだが、「ニュルブルクリンク北コースにタイムアタックの公式区間が定められたから」というのが正解。

 もともとニュルブルクリンクのタイムアタックには「計測は北コースとグランプリコースの合流地点から始める」という非公式ルールがあった。これに対し2019年、ニュルブルクリンクが「計測は北コースのコントロールラインから」という公式ルールを定めたため、スタート地点がおよそ230m手前になり(コース長でいうと20.6km>20.832km)、タイムが遅くなったというわけだ。

 ここまではFF車最速のタイムを見てきたが、市販車全体の最速タイムを見てみると、メルセデス・ベンツAMG Oneが2022年10月28日に記録した6分30秒705が最速だ。

 さらにカテゴリーを広げて無制限クラスの車両を含めると、2018年にポルシェ919ハイブリッドEvoが記録した5分19秒546が最速記録となる。その時の平均車速は時速233km、最後に待ち構えるドッティンガーストレートでは最高時速369kmを記録したというから、正気の沙汰ではない。

 ニュルブルクリンクが現在ほど有名でなかった時代。ある日本車が現地でテストを行ったところ「わずか数ラップでボディがゆがみ、ドアが開かなくなった」という逸話を聞いたことがある。以来日本車は血のにじむような努力を重ね、いまやTYPE RがFF車最速の称号を持つ。この事実を、日本車ファンはもっと誇りに思うべきかもしれない。

【画像ギャラリー】いい大人が一喜一憂するニュル北コースのラップタイム争い(27枚)画像ギャラリー

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