基本プランをベースに無料/有料のサービスを設定
コネクティッドカーでは、通信関連機器搭載やソフト開発、通信コスト、アップデートの費用などが車両価格に反映されていますが、ほかにも通信料金やアプリをはじめとするサービス利用料金が発生します。多くのメーカーは、安全やセキュリティ関連の機能については利用料金を課さないのが一般的ですが、サービスによっては有料のものもあり、多くのサービスを受けようとするとそれだけ多く課金されることになります。
各メーカーのコネクティッド利用料金は、車種やサービスプランによって大きく変わりますが、トヨタを例に上げると、T-Connectスタンダードの利用料金は、登録初年度から5年間無料で、それ以降は330円/月と設定されています。ただし、デジタルキーの利用料は550円/月(初年度から3年間無料)、専門オペレーターによる対応は330円/月、マイカーリサーチおよびリモートスタートは220円/月、車内Wi-Fiのデータ通信料は1100円/月となっています。
日産「NissanConnect」やホンダ「Honda CONNECT」など他のメーカーも同様で、車種とプランによって異なる定額の基本サービスをベースに、無料/有料のサービスが設定されています。
たとえ有料でも自身のカーライフに合ったサービスなら選択すべき
このように、メーカーが提供するコネクティッドカーのサービス内容と料金体系はさまざまですが、まず安全にかかわるサービスを優先し、次に不要なものと必要なものを選別することが大切です。
ユーザーによって、使用環境やクルマの使い方は違うので、例えば盗難に遭う可能性の高いクルマなら盗難追跡サービス、寒い地域や駐車場までの距離があるならリモートサービス(日産の「乗る前エアコン」など)、多人数でのドライブ頻度が高いならエンタメサービスやTVサービス、普段クルマをあまり使わないなら走行距離に応じて保険料が算出されるコネクティッドカー保険、という具合に自分のカーライフに合ったサービスを選択することが重要だと考えられます。たとえ有料サービスでも、料金が妥当であり、ご自身のカーライフにとって有意義であるのなら、課金する価値はあるはずです。
ただし、パソコンやスマホに不慣れな人、運転中に多くの情報が入ると運転に集中できないドライバーは、情報過多によって逆に安全運転に支障が出る可能性があるので、最初はサービスを限定したほうがよいかもしれません。
利便性向上だけでなく、安全のためにも必須
今後さらなる普及が見込まれるコネクティッドカーですが、今後特に注目なのが、自動運転との融合です。2021年、ホンダ「レジェンド」が、決められた条件下で自動運転を行うレベル3(ただし、システムの要請でドライバーの運転に切り替える)を搭載し、話題となりましたが、このような自動運転車の安全を担保するには、クルマをあらゆるものとつなぐV2X(Vehicle to X)が大きな役割を果たします。
V2Xには、クルマとネットワークをつなぐV2N(車・ネットワーク間通信)だけでなく、クルマとクルマをつなぐV2V(車・車間通信)、クルマと交通インフラをつなぐV2I(路・車間通信)が必要。例えば、V2Vが多くのクルマで普及すれば、クルマ同士の情報のやり取りによって死角から接近するクルマを検知できるので、出会い頭事故のような多くの交通事故を防ぐことができるようになります。
2030年頃には、80%以上のクルマがコネクティッドカーになるという予測もあります。コネクティッド技術は、利便性向上はもちろんのこと、安全な交通を確保するためにも必須の技術なのです。
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安全運転に効果的で利便性も向上できるコネクティッドカーは、今後も自動運転と融合してさらに進化を続けるでしょう。いまは必要ないと思っていても、10年後にはごく一般的なクルマとなっていることが予想されます。乗り遅れないようにするためにも、情報だけは常にアップデートしておきたいところです。
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