■LLCは不凍液としての役割も大きい
また水は0度で凍ってしまう。冬季、気温が0度以下になるところは、日本にはたくさんあるが、そこに駐車して水路内部の冷却水が凍ってしまうと、最悪エンジンのブロックを破壊することもある。
水は凍って固体になると膨張する特性があるからだ。
そこまでいかなくても、ラジエターホース内部の冷却水が凍ってしまうことで、一時的に冷却水が循環せずオーバーヒートを起こすこともあるのだ。
そんなことを防ぐため、クーラントは氷点を下げる効果のあるエチレングリコールやプロピレングリコールが主成分になっている。
水での希釈割合によって氷点が変わってくるので、寒冷地では原液で使い、それ以外の地域では必要に応じて水と混合して使うことになる。
これらは沸点も水より高いので、オーバーヒートも起こしにくくなる。また冷却系の水路は密閉されて、外気より圧力が高められている。
これは沸点を高める目的で、これにより高地など気圧の低いところに行ってもオーバーヒートしにくいようになっているのだ。
しかし沸点を上げても、エンジンの水路の壁はなかなかの高熱だ。そのため壁面に接するクーラントは沸騰してしまう。
また温度がそこまで上がらなくてもウォーターポンプで攪拌(かくはん)されたり、水路内部での乱流でも気泡は発生する。
気泡は断熱効果が高いので、水路内部で発生してしまうと冷却水との熱交換が上手くいかなくなってしまう。
そこでクーラントには、消泡剤という気泡を素早く解消させる成分も追加されているのだ。
凍結防止に錆止め、沸点上昇に消泡、こうした効果を長期間維持してくれるのがLLC(ロングライフクーラント)で、国産車ではさらに長期間交換不要なスーパーLLCが使われている。
これは7年~10年もの間、利用できるという非常に耐久性に優れたクーラントだ。
クルマが長期間メンテナンスフリーを実現したのも、こうしたケミカル類の進歩のおかげが大きい。しかし3回目の車検でも交換しない場合、スーパーLLCでも防錆効果や消泡効果が低下していく。
■冷却水の色は大丈夫か? エンジンルームを確認してみよう!
エンジンルーム内にはクーラントのリザーバータンクがあるので、エンジンが冷えている状態の時にキャップを開けて中のLLCを覗いてのぞいてみるといい。
濁ってきたり、色が変わっている(スーパーLLCならキレイな水色やピンク)ようなら、寿命のサインだ。
そうなる前に定期的に交換することで、エンジンの良いコンディションを維持することを心がけよう!
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