1970年代の夏休みの旅行から路線バスを撮り続けている写真家の谷川一巳氏。学生時代の旅行といえば修学旅行だが、一般的には「夜の枕バトル」「名所巡り」「移動中のトランプ」といった思い出が定番だ。しかし筆者の場合は「貸切観光バス撮影の旅」だった!?
(記事の内容は、2022年11月現在のものです)
執筆・写真/谷川一巳
※2022年11月発売《バスマガジンvol.116》『バスにまつわる愉快だけどマジな話』より
■はじめて撮った観光バスは岩手中央バス
私は中学生の頃から鉄道旅行のついでに路線バス撮影を続けている。しかし、その頃のバスには現在と異なる部分がある。
それは、定期路線バスは狭い地域で乗るものであって、長距離バスはほとんどなかったということである。東京~大阪間の国鉄ハイウェイバスやごくごく一部に都市間路線バスがあった程度である。
そんなわけで、はじめて撮影したドアが前方に1カ所しかないバスは、中学3年生の修学旅行(東北旅行)で利用した岩手中央バスであった。
しかし、当時鉄道少年だった私には積極的に撮影した記憶はなく、旅行も終盤になって、「せっかくだから利用したバスも撮っておこう」と青森県は蔦温泉の駐車場で撮ったのである。
高校2年の旅行も東北で、福島交通を利用したが、なぜか車両写真は撮っておらず、ご覧のように山道を、バスを連ねての走行写真を車窓から撮ったのである。
自由時間に駅へ行っては記念に入場券を買ったり鉄道写真を撮ったりしたが、バスにはあまり興味がなかったのかもしれない。
■高校の修学旅行はバス撮影旅?
高校3年の修学旅行は九州であった。利用したのは九州産業交通である。このときはバスをずいぶん撮った覚えがある。というより、バス撮影の旅だった。
別府高崎山では「猿見たってしょうがね~」。阿蘇山では「火山見てたってしょうがね~」。熊本水前寺公園では「庭園なんて興味ねえ~」。
万事がこんな感じで、私一人、早々にバスの駐車場に戻ってはさまざまな観光バスを撮っていたのである。考えてみれば変な少年であったが、私は団体行動が大の苦手であったのだ。
九州産業交通のバスガイドさんたちはフレンドリーな優しいお姉さんばかりだったことも記憶している。高校3年の修学旅行男子生徒と、バスガイドさんを一気に近くしてくれた言葉も覚えている。それは「私たち、みなさんと歳がほとんど離れてないんですよ~」の一言だった。
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