物事を決める際は「広>>>狭」の順に考えていくのがお約束。広いものと狭いもの両方が共存する結果にも多々なるが、このセオリーを全国のバス停名に当てはめて考察すると、どうやらネーミングの狭さ・広さを段階的にグループ分けできるようだ。
文・写真:中山修一
■バス停名に求められる「狭さ」
まず挙げられるパターンに、停留所の近くにある商業施設や駅、公園、観光スポットなどから名前を頂戴する方法がある。
とりわけ一般によく知られるランドマークになっている場所の名称を盛り込めば、バスを利用する側にも分かりやすいため、バス停の名前の付け方としては手堅い。
果たしてこのネーミングは広いのか、それとも狭いのか……ランドマーク自体は固有の場所を指すことが殆どなので、実はかなり狭い範囲をピンポイントで突いている。
ランドマーク系の停留所名にはよく、その施設名や駅名などの後に説明語が添えられる。定番なのは「○○前」や「△△入口」だろう。
ただし、ランドマーク系だからと言って有名どころばかり選ばれるわけではなく、バス停の周辺に民家しかなければ、その個人宅名がバス停名に採用されるケースもなくはない。
また、鉄道の駅名と大体同じ名称が付けられたバス停で、鉄道が廃線になった後も、周辺に何もない場合は変えるのが困難ということで、ほぼそのままの名称が残る。
■狭いとムリ!! なら広くすればいい
特定の施設や駅、個人宅などをバス停名に冠するとなれば、まず許可を取らないといけない。時として全部NGになってしまう恐れも大いにあり得る。
固有名詞を組み込んだ狭いネーミングができない際は、範囲が少し広くなり、地名をベースにした停留所名に変わる。
例えばバス停の置かれた周囲100mの地名が「狸谷」だったとすると、バス停の名前もそれに合わせて「狸谷」になる寸法だ。
その他「○○交差点」や「△△通り」のような名称のバス停もまた、ランドマーク系よりやや広めな、地名ベースのネーミングのグループに含めて良さそうだ。
■住所という魔法のキーワード
これといったピンポイントな地名がなく、さらに範囲を広めないとバス停の場所を表現しづらい……そこで活用される方法が、住所をベースにするというものだ。
「○○町」、「△△一丁目」などなど、前述の2グループに比べると、更にざっくりしたエリアを名称に用いるのが特徴となっている。
住所作戦ならネーミングの問題も大抵は解決しそうな印象を受けるが、固有名詞は使えず特定の地名もない上に、同じ住所のエリアに何箇所もバス停が置かれているとなれば雲行きが怪しくなる。