クルマに欠かせない部品であるタイヤは黒いのが当たり前。では、なぜタイヤは黒いのか? そこには技術的な問題だけではない納得の理由があった。さらに、最近では素材の変化もあってわざわざ黒くしているという驚きの事実も。タイヤメーカーが明かす黒以外のタイヤを用意しない理由と今後カラータイヤが登場する可能性について考察する!
文/高根英幸、写真/高根英幸、池之平昌信、HONDA
■なぜタイヤは黒いのか?
クルマのタイヤは黒くて丸いドーナツ型をしている。これは軽トラだろうが、スーパーカーや、レーシングカーだって変わらない、万国共通の認識だ。
では、どうしてタイヤは黒いのか?
「ゴムで出来てできているから」というのは正解なようでいて、実はそうでもない。というのは世の中には、ゴム製品でも様々さまざまな色が存在する。
文房具の消しゴムは白が圧倒的に多いし、カラフルな商品もある。そもそも、ゴムは素材や特性から、無数に種類があるものだ。
ゴムの補強材として、カーボンブラックを配合しているから、というのがこれまでの答えだったが、最近はそれも変わりつつある。
というのも、ゴムの補強材はほかにも種類があって、役割が変わりつつあるからだ。
■20年ほど前にカラータイヤが登場! なぜ現在は存在しないのか?
それに実は黒じゃないタイヤだって存在する。自転車などでは、白や赤、緑、青といったカラフルなタイヤも販売されている。
これはファッション的な要素でクロスバイクに使われていたりするが、ロードバイク用のタイヤでも被視認性を高めるためにトレッド面の一部にカラーのストライプを組み込んでいるデザインもある。
クルマ用としては、20年ほど前にミシュランがカラータイヤをリリースしたことがあった。
これはタイヤ全体をカラーゴムで作り上げたもので、カーボンブラックを使用せずにシリカなどほかの補強材を配合することで黄色や青、赤といったカラーのタイヤを実現したのだ。
ところが、これが実際に公道を走らせてみたら大問題! 路面の汚れがタイヤに付着してキレイなカラーが台無しなしになり、むしろ汚らしくなってしまったのだ。
というのもタイヤは路面との摩擦でグリップ力を発生させるが、その際にゴム分子の境界などに汚れを吸着させる。
消しゴムはそうしたゴムの原理を応用したものだが、タイヤも汚れを吸着しやすいので、カラータイヤは汚れが目立ってしまうのだ。
それ以来、カラータイヤはクルマ用としてはほとんど登場していない。
そのかわりにタイヤのサイドウォールをペイントによって着色する技術が開発されて、必要に応じてペイントできる環境は整えられている。
そもそもトレッド面はクルマのボディに隠れてほとんど見えないから、実際の利用法を考えればこれで充分とも言える。
コメント
コメントの使い方凄く納得のいく、良い記事でした。
初めて見た時から黒色をしていたから『何故黒いか』なんて考えた事もなかったけど、確かにゴムの色って輪ゴムは黒くないですからね。