■人手不足で誕生したセルフスタンド
このような流れの中で、アメリカの石油会社はガソリンスタンドをブランド化していく。統一した制服や自社のエンジンオイルなどがそれに当たる。しかし、1960年代には雇用条件の改善と人手不足という問題に直面する。給油、精算、自動車整備、洗車と仕事量が人員に比べて多かったのだ。
この問題を解決するために顧客が自分で給油して従業員が代金を回収する仕組みが誕生した。これがセルフスタンドの始まりである。
アメリカ政府もガソリンスタンドの労働生産性向上の必要性を指摘、セルフスタンドが拡大していくこととなった。1970年代前半には28州が、1977年にはオレゴン州とニュージャージー州を除いた全ての州で認可されたのだ。
低価格で大量販売をすることが可能となり、別業種を成り立たせることが可能な顧客数を得ることができた。こうしてアメリカのガソリンスタンドにはコンビニを併設することが増えたのだ。これによってオイル交換などで得ていた収益を賄う形となった。
また、セルフスタンドの拡大に拍車をかけたのが1973年のオイルショックだ。人件費を抑えて安くガソリンを提供できるため、急速な増加につながったのだ。現在ではアメリカやカナダ、ドイツなどではセルフスタンドはガソリンスタンド全体の9割を占めていると言われている。
■日本でも安さで普及
冒頭で述べたように日本でセルフスタンドが解禁されたのは1998年であった。ちなみに日本初のセルフスタンドは静岡県静岡市清水町にあるセルフ清水草薙SSだと言われている。
日本での普及の理由も価格の安さだ。人件費を安く抑えることができるセルフスタンドは、ガソリンの単価も安く抑えることができる。立地や時代背景によって異なるが、統計によると大よそ5~6円、価格差比率4~5%でセルフスタンドが安いとされている。
フルサービスの方が丁寧であっても、安いセルフスタンドで給油してしまうのは消費者の性と言えるだろう。
また、セルフスタンドは有人のフルサービスと異なり、24時間営業しているところが多いというのも嬉しいポイントだ。
今後電動化や低燃費なクルマの普及などでガソリンスタンドは数を減らすと思われるが、セルフスタンドの割合も増えていくことだろう。セルフスタンドが増えていくと価格競争にも限界点があるはずだ、ガソリンスタンドの生き残りをかけて各社が次なる一手をどのように展開してくるかにも注目したい。
【画像ギャラリー】今や当たり前!! でも一体いつから普及したの!? セルフ式ガソリンスタンドが誕生した納得の理由(4枚)画像ギャラリー
コメント
コメントの使い方セルフでもかなりの上下幅ありますよね。元売り大手は高く、コストコやイオンのペトラス等元売りから安く仕入れる方がガソリンも安い。当然他の買い物でも稼げるからなのだろうけど。
因みにコストコは遠いので使いません。イオンモールも日常の生活圏ではないので普通のセルフスタンド。
リッター90円時代は少しでも安い店にと思って車走らせてたけど、燃費は良くなったと言えど走るだけ高く付くガソリン代の今は…。
私の住んでいる地域ではフルサービスの店舗はほんの僅かしかなく、セルフ式の店舗が多数営業中で価格が安くとても助かる。安いと言われているコストコのガソリンスタンドと比べても1Lあたり5円と違わない。