なんと全幅1700mm以下!! 普通免許で乗れる日野のEVトラック「デュトロZ」が超魅力的

配送トラックの先駆車よりも低い!

デュトロZ EVの床面地上高を、4ナンバー小型商用車と軽商用車、乗用車、さらにトヨタの「クイックデリバリー」やいすゞの「ビギン」「エルフFFマイパック」といった先駆者たちと比較した
デュトロZ EVの床面地上高を、4ナンバー小型商用車と軽商用車、乗用車、さらにトヨタの「クイックデリバリー」やいすゞの「ビギン」「エルフFFマイパック」といった先駆者たちと比較した

 実際の配送業務に携わってきた方にとっては、いままでの配送トラックとの比較も気になるところだ。

 ということで、日野・デュトロ2トン積み車型のうち、「標準キャブ・標準ボディ・全低床」ベースのアルミバン完成車は845mmである。もちろんステップが用意されているとはいえ、デュトロZ EVに対して倍近く高い荷台を、頻繁に乗り降りしていることになる。

 配送業務におけるトラックの荷台への、頻繁な乗降の負担を抑えることは、実は以前から取り組まれていた。有名なのが、トヨタがヤマト運輸と共同開発したウォークスルーバン「クイックデリバリー」だろう。

 ダイナのシャシーをベースにウォークスルーバン化したクイックデリバリーの床面地上高は、1.25トン積車が715mm(2000年型クイックデリバリー100)、2.0トン積車が770mm(同200)だが、運転席~荷室間を直接往来できるので乗降頻度が少なく、長年にわたって重用されてきた(現行排出ガス規制の施行前となる2016年に生産終了)。

 また、いすゞが2002年に発売した、1.15トン積ウォークスルーバン「ビギン」の床面地上高は670mmだった。既存フレームシャシーのディーゼル車ベースでは、このあたりが限界なのかもしれない。いすゞついでに挙げておくと、1972年に発売した前輪駆動の小型トラック「エルフFFマイパック」のA型シャシー・アルミバン仕様は525mmだった。

EVだからこそ実現したシャシー

デュトロZ EVのシャシーレイアウトのイメージ
デュトロZ EVのシャシーレイアウトのイメージ

 こうしてみると、デュトロZ EVには「ウォークスルーバン構造」「前輪駆動による荷室低床化」というパッケージング要素に、「普通免許に対応した車格」「電動化」といった、今日の社会的要請が盛り込まれていることがわかるのだが、同時に、電動化がウォークスルー構造や超低床化を可能としている。

 デュトロ標準キャブと同じキャブの下には、最高出力67PS・最大トルク334Nm(34.0kgm)のモーターと減速機、ドライブシャフトで構成されるeアクスルがあり、前輪を駆動する。また、エアコンの電動コンプレッサや真空倍力式油圧ブレーキの電動バキュームポンプなどの補機類もキャブ下に搭載する。パワーステアリングはフル電動式。フロントサスペンションはダブルウィッシュボーン・トーションバーの独立懸架だ。

 シャシーは、エンジンコンパートメント部がラダーフレーム構造で、そこから後車軸(リアアクスル)までは、フレーム高を大幅に引き下げて、荷室を低床化している。また、ここからは車幅いっぱいのペリメーターフレーム構造を採用し、2基の薄型高電圧バッテリーパック(容量40kWhのリチウムイオン電池)をその内側に抱えるように搭載する。つまり荷室床下の薄い空間にバッテリーが置いてあるわけだ。

 後車軸以降は、ペリメーターフレームと同じ低さを保ちながら、再びラダーフレームとなる。後車軸自体はリジットアクスルだが、アクスルチューブは複雑な形状となっており、オーバースラング配置のモノリーフスプリングで懸架されている。

 このようなシャシーレイアウトは、電動パワートレインゆえに実現できるもので、燃料タンクやアドブルータンク、排気管および排ガス後処理装置が必要不可欠な現代のディーゼル車では、とうてい成立不可能なのである。

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