■勾配のキツさは半端ではない!
山岳コースだけに凄いのは勾配で、上り最大20%、下り最大16%だ。「峠道のよう」と形容されるが、勾配がきついことで有名な箱根ターンパイクでも、平均勾配7%、最大10%に過ぎない。上りはともかく、下り勾配16%を全開で加速するのは、猛烈に恐ろしいのではないだろうか?
しかもこのコース、下り勾配の区間は、大部分がストレートだ。メインストレートは800m。鈴鹿のグランドスタンド前のストレートと同じ長さがある。それが下りの急傾斜なのだから、誰も経験したことのないジェットコースター気分が味わえるに違いない。
800mのストレートエンドには、スプーン型の複合コーナーが待っている。左右に切り返すコース取りなので、ストレートから真っすぐ突っ込んでしまっても、ランオフエリアを比較的長く使うことができる。
ここを折り返すと長い上りストレートとなり、最終区間は、左右に複合コーナーが続く上りテクニカル区間となる。コース図とバーチャル走行動画を見れば見るほど、玄人好みのチャレンジングでテクニカルなコースだとわかる。
■あのヘルマン・ティルケがコースを設計!
それもそのはず、このコースを設計したのは、ヘルマン・ティルケ氏率いる「Tilke Engineers&Architects」。ティルケという名前は、モータースポーツファンなら知らない人はいないだろう。
1990年以降にオープンしたF1開催コースの多くを設計した実績を持っており、これまで、19のF1開催サーキットを含む、80以上のサーキットを全世界でデザインしている。
ティルケ設計の特徴は、従来の古典的なサーキットとは違った、安全でチャレンジングなコース作りにある。複合したRを持つトリッキーなコーナーが多く、アップダウンや路面のカントも微妙に変えることで、ドライバーのミスを誘ってくる。テクニックが要求される半面、征服する快感は格別だ。
日本では、富士スピードウェイの最終コーナー改修を手がけている。あのクネクネしたテクニカルな部分はティルケ設計。私は個人的にあの区間が大好きだ。一見どうコース取りしていいのか戸惑うが、一度攻略法を覚えると、何度走っても奥が深くて楽しいのである。
安全性に関しては、ランオフエリアを広く取り、グラベルではなく、舗装を採用するのが特徴。つまり、ランオフエリアで減速して方向転換することができる。近年のF1を見たことのある人ならご承知のことだろう。
ランオフエリアエンドには、古典的なタイヤバリアを使わず、衝撃吸収性能の高い素材を採用する。ここTHE MAGARIGAWA CLUBも同様だ。
ティルケ側も、こんな山岳地にコースを設計するのは初めての経験で、それだけに挑戦意欲を掻き立てられたという。「世界でも稀に見るユニークなコースを作ることができた」と胸を張る。
■コースアウトしただけならマシンは無事に済むのが特徴
サーキットでコースアウトしてグラベルにつかまると、マシンもダメージを負ってしまうが、ティルケサーキットの場合はコースアウトしただけなら無事というのは、高価なスポーツカーを走らせるオーナーにとって、安心材料ではないだろうか。
それにしても、あの下り勾配は大丈夫かと、他人事ながら心配になるが、コーンズ側は、「これはサーキットではなく、真のドライビングコースです」とアナウンスしている。つまり、タイムを競うのではなく、運転を楽しむための場所だということだ。下りはゆっくり走って、上りだけ攻めたっていい。
入会金3600万円は、一般人には目玉が飛び出る金額だが、新車のフェラーリ1台分と思えば、富裕層には決して高くはないだろう(オープンから6年後以降に譲渡可能だそう)。
ちなみにゴルフ会員権だと、小金井カントリークラブ(東京都)が5000万円前後で最高らしい。
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