■極上の乗り心地その1:トヨタ セルシオ(初代)
筆者が過去に乗ったクルマの中で、乗り心地が良かった感じるクルマとしてまず挙げたいのが、トヨタの初代セルシオ(1989~1994年)だ。
筆者が初代セルシオに乗ったのは、登場から20年以上経った2010年代。
当時の高級セダンといえば、BMW7シリーズやベンツSクラスが抜きん出た存在で、400psオーバーのハイパワーエンジンを積み、20インチ以上の大径タイヤを履き、ダンピングが良く、引き締まった乗り心地が理想として認識されていた時代だった。
初代セルシオは、走行性能は低く、ボディの揺れも大きいのだが、その揺れの動き方がむしろ心地よく感じられ、「こっちのほうがむしろ良いのでは??」と考えさせられた。乗り心地の良さとはボディの動きや、車体の振動を小さくすることだけではないことを教えてくれた一台だった。
■極上の乗り心地その2:メルセデスSクラス(W222型)
過去に試乗してきた中でも、「いまだに凄い!!」と感じているのが、2013年登場のメルセデスSクラス(W222型)だ。
ニワトリを持ち上げた手を、上下、左右、回転方向に動かしても、ニワトリの頭部は常に同じ位置に止まって見える、というテレビCMは、乗り心地に興味のある読者諸氏ならば、覚えている人もいるのではないだろうか(現在もYouTubeで視聴できる)。
凄さの秘密は、このモデルに装備されていた「マジックボディコントロール」だ。ステレオカメラで路面の凸凹を撮影し、サスペンションのスプリングレートとダンパーの強さを即座に制御をして衝撃をいなすというもの。
段差や凹凸を通過すると、他の高級車では少なからず揺れるのに、このSクラスは何事もなかったかのように通過する。カメラとアクティブサスを組み合わせるという、乗り心地への執念とコスト(超高い)のかけ方が尋常ではない、メルセデスの凄さが感じられたアイテムだった。
■極上の乗り心地その3:フォルクスワーゲン「ゴルフ7」
ゴルフ7の魅力は、正確で安定感の高いハンドリング、クラスを超えた快適な乗り心地、静粛性、室内の使い勝手、優れた燃費、そしてコストパフォーマンス、すべてがバランスよくパッケージングされていることだ。
なかでもゴルフ7の最終型、「マイスター」グレードは、BMWやメルセデス、アウディなど欧州高級車のDセグメントの乗り心地にも匹敵する、極上の静粛性と乗り心地であった。
17インチタイヤでも十分に良かったが、16インチタイヤを装着したベーシックグレードは、乗り心地の良さがひと際光っていた。このゴルフ7で完成されたことで、現行のゴルフ8の乗り心地もゴルフ7と同等に素晴らしい。
■極上の乗り心地その4:トヨタ クラウンクロスオーバーRS
最近乗った中で乗り心地が良いと感じたのが、トヨタ「クラウンクロスオーバーRS」だ。RSはスポーツグレードにあたるのだが、標準グレードよりも乗り心地が良い。
一般道から高速道路まで様々走らせてみたが、柔らかな乗り心地と優れた静粛性のおかげで、非常に快適。標準搭載となる電制ショックアブソーバーの恩恵も大きいが、大径タイヤが前提でも、突起ショックを上手くいなすための方策が構築されているのだろう。
このところのトヨタ車(含レクサス車)は、乗り心地のまとめ方が非常にうまい。新型クラウンスポーツも、同様のデバイスとなるそうなので、非常に楽しみにしている。
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