■なんと3000台のフィガロがイギリスに存在!?
その後、フィガロは数奇な運命をたどる。スポーツカーの故郷ともいえるイギリスに輸出されたところ、「こんなクルマがあったのか!」と大反響。多くのフィガロがイギリスへと海を渡ることとなったのだ。
イギリスのフィガロ人気に火をつけたのは、大物ミュージシャンのエリック・クラプトンだといわれる。
彼は1991年の日本ツアー中に偶然フィガロに出会い、その姿に惚れ込んでクルマを買い付けてしまった。クラプトンの乗るフィガロがロンドン市内のあちこちで目撃されたことがメディアに取り上げられ、「あのキュートなクルマはなんだ!」と話題になったのだ。
フィガロに魅了されたのはクラプトンだけではない。たとえば元ベルギー代表のサッカー選手、トーマス・フェルマーレンは大のフィガロファンとして有名だし、イギリス王室のユージェニー王女は、運転免許を取って初めて乗ったクルマがフィガロだった。
イギリスBBCで放映された人気SFの「サラ・ジェーン・アドベンチャー」では、主人公のサラ・ジェーン・スミスがドライブするクルマとしてフィガロが登場する。
現在もなお、イギリスにはフィガロが3000台以上も存在するというが、その存在は多くのフィガロ専門店が支えているようだ。
なかでも有名なのが「ザ・フィガロ・ショップ」というオックスフォードシャーにあるショップ。フィガロの車検や整備はもちろん、レストアやパーツのリプロダクションまで手掛けるという真剣度で、同店の作ったパーツはイギリスやもちろん、日本のフィガロファンの間でも人気なのだという。
こうしたイギリスでの人気もあって、フィガロの中古車相場は日本でも急騰を続けてきた。過去にはベストカーWebでも「フィガロの中古車が598万円」という話題を取り上げたことがあるが、中古車相場が沈静化しつつある現在でも、走行0.7万kmという希少車は555万円、1.6万kmの個体は498万円というプライスで、店頭に並んでいるようだ。
本格的なスポーツカーファンにとっては、どこか見下しがちな存在だった日産フィガロ。しかしその魅力は、世界に通用する予想以上の輝きを持っていたようだ。
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