日本よりバイオ燃料の実用化が進む欧州だが、実際はどのくらい市民生活に普及しているのか?ダチア・サンデロに乗り、ル・マン市内で筆者が見た再生可能燃料事情をレポートする。
文・写真:段純恵
■ル・マン駅前のレンタカーで手配された車はまさかの・・・
今回ル・マン駅前のレンタカー会社でフランス美女が差配してくれたのは、ダチア・サンデロという、これまで見たことも聞いたこともない車だった。
ちなみにヨーロッパでもレンタカー予約時に車のクラスを指定するが、どんな車が出てくるかは借りる時のお楽しみだ。
遅い時間にカウンターに着いた時など、予約したクラスより上位の車種が出てきたりして「ラッキーだね」なんてレンタカー会社のお兄さんにウィンクされるけど、私は小さいクルマが好きなんです、駐車が苦手なんですと訴えて元のクラスに戻してもらうときの、相手の怪訝な表情と居心地の悪さったらない。
ダチア・サンデロについて、日本で知っている人など全人口の1%もないと思うが、私も今回ネットで調べて初めて知ったクチだ。
ルーマニアの自動車メーカー、ダチアの元の社名は「UAP」で、国の革命や民主化、会社の名称変更を経て1999年からルノーの傘下に入ったという。レンタカーで出てきたサンデロくんは3代目でBセグメントの車だ。
予約したのは、代表車種がフィアット500のAセグメントなので、これは横暴な客に先を譲った私に対するレンタカー会社の美女の感謝のしるりなのか、彼女の一存&無料でアップグレードしてくれたらしい。
駐車場でサンデロくんを見た瞬間は、正直、見た目のサイズに怯んだが、彼女の好意を無にして気持ちを害するのもナンなので、今回は大人しくサンデロに乗り込むことにした。
■予想以上の実力、ダチア・サンデロ
結論からいうと、これが大正解だった。
ルノークリオや日産ノートと同じプラットフォームだという車体は、日本のSUVよりうんと小ぶりで私向き。
スピードメーターの表示が時速210キロまであるのは恐らくご愛敬で、本当にそんなにスピードが出るのかどうか、サーキットと部屋の片道10数分の下道ドライブで確認するのは難しいが、3気筒1リッターエンジンは非力にみえて実は軽快かつシフトアップの伸びもよく、自分の運転が上手になった気がするから不思議だ。
他にも6速MT、オートエアコン、アイドルストップ、ヒルスタートアシスト、キーレス機能にエコボタン、ついでにオートワイパーなど、Aセグメントではまずお目にかかれない充実の装備ぶり。
しかも嫌味のない外観のデザインと安っぽくない内装(ハンドルに集中スイッチがある)、なのに同クラスのルノーより安い価格設定で、UKでは1万4千ポンド、ドイツではVWポロより1万ユーロ安くトヨタのヤリスクロス(SUV)のほぼ半額の1万7千ユーロである。
これで売れなきゃウソでしょ?って感じで、実際サンデロくんの2022年欧州全体での販売台数は、プジョー208に次ぐ堂々の2位だった。
実は大人気のクルマであることがわかったサンデロくんだが、ナンバーを見るとル・マンからパリを超えてさらに100キロほど北のオワーズ県からやってきたらしい。
大イベントのためにかき集められたうちの1台らしいが、使用感もあまりなく、再生可能燃料にも対応していて給油口の蓋には『E10』『E5』のシールがバッチリ貼ってある。
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