■E10って知ってる?ル・マン市内で見た燃料事情
実は今回の取材旅行で、レース以外でチェックしようと考えていたことの一つが、一般ユーザーにおける再生可能燃料の普及についてだった。
ル・マン市内のガソリンスタンド3カ所を見ただけで決めつけてはいけないことを承知の上でお話しすると、3カ所ともハイオク(『98』表示)はもちろん、レギュラーガソリン(『95』表示)よりも、E10、E5燃料(E10はバイオエタノールが体積比で10%、E5は5%配合されている再生可能燃料)のほうがリッターあたりの値段が安かった。
にも関わらず、3カ所それぞれを10分ほど観察したのだが、次々給油に訪れるクルマが入っていくのはハイオクとレギュラー表示のレーンばかり。E10、E5のあるレーンに入る車がたまにあっても、降りてくるドライバーが手にするリグは『95』か『98』ばかりだった。
「E10は結局高かったのよ」と話してくれたのは、私のル・マン民泊のホスト、カミュ家のイヴリン夫人だ。生まれも育ちもル・マンのイヴリンさんは、パリ生まれのご主人ジルベールさんと結婚した後もル・マンに住み続け、4人のお子さんを育て上げた。
「一度あの古いプジョー(夫人の愛車は『砂漠のライオン』205)にE10入れたら、いつものように運転していたのにいつもより燃料の減りが早かったの」というイヴリンさんにジルベールさんが言葉を続ける。
「E10燃料が環境のために良いことは知っているけれど、ウクライナ侵攻以来、何もかも値段が上がってガソリンも以前より高い。誰もが少しでも節約したいんですよ」
生活者として実感のこもる2人の言葉は、どんな数字のデータよりも説得力があった。
【画像ギャラリー】日本で知っている人いる?ル・マン取材でダチア・サンデロ(5枚)画像ギャラリー
コメント
コメントの使い方