ハンドリングに定評のあったミニバン、マツダ 3代目プレマシーがマイナーチェンジ。質の高いドライビングフィールとミニバントップの燃費を手に。その実力は?(本稿は「ベストカー」2013年4月10日号に掲載した記事の再録版となります)
文:片岡英明/撮影:平野 学
■マイナーチェンジで走りも燃費もレベルアップ! しなやかな乗り心地を手に
スペース追求型のミニバンもいいが、走りの楽しさにこだわるならドライバーズミニバンがベストだろう。その先駆けとなったのがプレマシー。
現行の3代目は後席スライドドアと高効率の優れたパッケージに加え、ワゴン感覚の気持ちいい走りもチャームポイントにしている。
登場から3年目を迎えたプレマシー、気合の入ったマイナーチェンジを行なった。最大の注目点はパワーユニットに自慢のSKYACTIV技術をちりばめ、上質で気持ちのいいドライビングフィーリングにさらに磨きをかけたことである。
これまでにも2Lの直列4気筒DOHCを直噴化したDISIエンジンを積んだり、アイドリングストップ機構のi-stopを採用して燃費向上に努めてきた。
今回は主役の座に高効率直噴エンジンのSKYACTIV-G2.0を据え、トランスミッションも6速ATのSKYACTIV-DRIVEにグレードアップしてドライバビリティと燃費を向上させている。
JC08モード燃費はミニバンのなかではクラストップとなる16.2km/L(15インチタイヤ装着車)だ。DISIエンジンを積むマイナーチェンジ前の20Sは14.0km/Lだった。燃費は2km/L以上も向上している。
メカニズムは大きく変わったが、エクステリアとインテリアの変更はわずかだった。エクステリアはホイールのセンターキャップが変わった程度だ。
インテリアはメーターやシフトレバー周りのデザインが変わっている。が、これまた仔細に観察しないとわからない。
エンジンを大きく進化させたのだから、もう少し化粧直ししてもよかったように思う。
■シャープなATに進化
ドライバーズシートに座ると、デミオやCX-5で見慣れたインテリジェント・ドライブ・マスター(i-DM)が目に飛び込んできた。モノクロ表示なのが残念だが、これを見ながら運転すると燃費向上を期待できる。
SKYACTIV-Gを採用した1997ccのPE-VPS型エンジンは151ps、19.4kgmの実力だ。アクセルを踏み込むと回転の上昇とリンクして素直にトルクが立ち上がった。低回転域のトルク不足が心配だったが、出来のいい6速ATの助けもあり、充分なパワーとトルクを感じ取れる。
マイナーチェンジ前のプレマシーよりアクセル操作に対する追従性がよくなった。だから発進直後の低回転域からリニアな加速を引き出すことができる。ちょっとアクセルを開けただけでスピードのノリもいいと感じるが、敏感すぎて気ぜわしいと感じる悪癖も影を潜めた。
街中を中心とした走りのステージでドライバビリティがよくなったのも特筆できるところだ。横浜はゴーストップが多く、低速性能が重視される街だ。プレマシーはアクセルをちょっとだけ開けて加速するようなシーンで扱いやすさが光った。狙ったとおりにクルマが動くなど、コントロールしやすいのが美点だ。
6速ATも気持ちいい走りに大きく貢献している。つながりが滑らかで、応答レスポンスもシャープだからいい気分で運転できた。
また、パドルシフトが加わったのも朗報だ。マツダのATはマニュアルシフトのとき、シフトアップとダウンの位置が他のメーカーとは違う。そのため操作に慣れを必要とした。パドルシフトの採用により、この弱点が解消されている。
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