スバル2023年前期決算増収増益の裏で新社長が描く「EV生産40万台制」への期待と不安

■大崎新社長体制でスバルのEV戦略はどうなる?

新しいスバルの社長に就任した大崎篤氏。さまざまな厳しい環境のなかで早くもその手腕が問われることに
新しいスバルの社長に就任した大崎篤氏。さまざまな厳しい環境のなかで早くもその手腕が問われることに

 大崎氏は1962年4月19日生まれの61歳。東京農工大院工学研究科修士修了後、1988年富士重工業(現SUBARU)に入社。古くはエンジンやトランスミッション開発に従事し、その後しばらく労働組合の三役の一角、書記長を務めた。

 前出のステラの開発のほか、スバルが苦しんだ完成検査の法令違反にも関係する品質関連の責任者など多様なフィールドでキャリアを積んできた人物である。

 独自EVの断念、軽自動車自社製造からの撤退、そして完成検査不正と、ビジネスシーンでは悔しい思いを味わうことのほうが多かった大崎氏。それだけに2030年にEV比率4割という目標は、かつて大魚を釣り逃がしたスバルにとって再チャレンジであり、リターンマッチに挑む大崎社長にとってそのプロジェクトへの熱意は並々ならぬものがあるだろう。

 もちろん、その道は平坦ではない。小規模メーカーゆえ、研究開発費はかぎられる。2002年にロケットスタートを決定していれば話は別であっただろうが、先端技術のトップランナーを目指す機会はすでに失われていた。

 そんなスバルに勝機があるとすれば、かつて日産やGM傘下だった時代からの伝統である立ち回りの上手さである。

 巨大自動車メーカーやメガサプライヤーと賢く付き合いながら、それらの技術を上手く組み合わせ、スバルのアイデンティティと呼べるような部分やテイスト作りはしっかり自社の哲学で固めるというのは得意技。その積み重ねがあったゆえに独特のブランドとして存続することができたことは言うまでもない。

 社運を賭けたEV開発でも提携関係にあるトヨタなどに対して、そういう立ち回りの上手さが発揮できるかどうか。業績回復が鮮明になっているとはいえ、さまざまなリスク要因を抱える厳しい経営環境のなか、大崎新社長の手腕が早くも問われることになる。

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