クラウンといえば動くルーバー!! なんで伝統を守れなかったのよ今のクラウンは

クラウンといえば動くルーバー!! なんで伝統を守れなかったのよ今のクラウンは

 自動で動くエアコンルーバーといえばクラウン!! というほど伝統的な装備であったが、クラウンクロスオーバーは採用されず。もしかすると新型クラウンセダンには装備される可能性もあるが、クラウンを名乗る以上は付けてほしかったところ。何で伝統を守れなかった!?

文:佐々木亘/写真:ベストカーWeb編集部

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■高級車が別格であることを感じさせる動くエアコンルーバー

クラウンといえば!! という装備だが、その歴史は数十年単位!!
クラウンといえば!! という装備だが、その歴史は数十年単位!!

 クラウンの車内に乗り込みエンジンをかけると、エアコンルーバーが左右に動くのが目に入る。

 初めて見る人にはとても新鮮で「何これ!エアコン動いてるよ、スゴい!」と助手席に乗せた友人や彼女に驚かれると、それだけでクラウンオーナーとしては鼻が高い。

 かくいう筆者も、初めて乗った17系クラウンのエアコンルーバーが動くことに感動した一人だ。「あぁ、これが高級車か」と、左右に動くルーバーを見てクラウンに格の違いを感じたのを思い出す。

 先進性を感じるこの装備は、10代目クラウン(15系 1995年~2001年)の時点で装着されていた。当時のカタログにはスインググリル(インパネレジスター)という記載がある。

 その後も左右に動くエアコンルーバーはクラウンの代表的な装備として搭載され続けた。17系クラウンで登場したエステートや、30系セルシオ(インテリジェントスイングレジスター)にも搭載され、トヨタの高級車のアイコンになっている。

 先代となる15代目クラウンでも、この装備は健在。名称はスイングレジスターと変わっているが、2.5LのRSとSを除く全グレードに標準装備されていた。

■可愛い動きで車内を快適にする小粋な装備

クラウンクロスオーバーのエアコンルーバーは手動!! もしや最上級モデルという位置付けのクラウンセダンには採用されるか!?
クラウンクロスオーバーのエアコンルーバーは手動!! もしや最上級モデルという位置付けのクラウンセダンには採用されるか!?

 家庭用エアコンでは、ルーバーがスイングするのはもはや当たり前。今では、センサーが人のいる場所を確認し、風の向きを自動的に変えてくれる。

 直接エアコンの風が当たらないのは、体の冷えすぎを予防でき、快適な室内環境を作り出すものだ。

 クラウンに搭載されるスイングレジスターは、家庭用エアコンと同様に、快適な車内を作り出すことに一役買っていた。

 扇風機やサーキュレーターが首を振るようにエアコンの風を送り出すことで、車内の温度が均等かつ快適な状況に保たれる。

 カーエアコンの風が当たり続けると、体の一部だけが冷えていき、ルーバーの向きを変えると今度は暑い。

 最適を探すためにルーバーの向きを変えるのは、結構煩わしい動作である。こうした悩みを一挙に解決するのが、スイングレジスターだったのだ。

 静かにゆっくりと風向きを変えてくれるスイングレジスターは、乗員にとって快適なものだし、何よりその動きを見ていると、心が穏やかになってくる。

 こうした装備は、日本人が持つ独特の感性から生み出されたものだろう。スイングレジスターを見ていると、今は少なくなった障子や縁側の竹すだれといった、和の雰囲気を思い出す。

 日本文化を感じさせるスイングレジスターが、クラウンの世界進出決定と同時に、消えてしまったのは、なんとも悲しい。

■機械制御で快適になったから不要? スイングレジスターの復活はないのか

クロスオーバーとスポーツ以外のモデルには動くルーバー復活の可能性も!?
クロスオーバーとスポーツ以外のモデルには動くルーバー復活の可能性も!?

 現行車のエアコン制御は、昔に比べると本当に賢くなった。運転席・助手席の左右独立温度調整はもはや当たり前の装備になりつつあり、乗員の数や着座位置に応じてエアコンの出力を調整する機能も増えている。

 このような機能向上を考えると、車内空調を最適化させる上でスイングレジスターは不要なのかもしれない。

 スイングレジスター分のコストを他の装備に変え、クルマ全体の機能性を高めることが、メーカーのやるべきことだろう。

 これはクラウンクロスオーバーから伝統のスイングレジスターが消えた理由の一つだと思う。伝統というものは、見方によっては悪しき慣習。しがらみからクラウンが一歩抜け出した証だ。

 一方で、日本人の中には「変わらない」ことを良しとする見方があるのも事実。クラウンという長い歴史を持った車名を使うのであれば、変わらず残すべき部分も必要ではないだろうか。

「DISCOVER YOUR CROWN」、直訳すれば「あなたのクラウンを発見してください」というキャッチコピーが付いた16代目クラウンだからこそ、伝統を色濃く受け継ぐクラウンがあって然るべき。

 これまでのクラウンを、存分に継承するモデルを待ち望むファンも数多くいる。

 全ての要素を日本のために考え、日本人が作り出した名車が「クラウン」だ。世界へ羽ばたくクラウンだからこそ、日本の趣ある装備を搭載して、世界を驚かせることもあるだろう。

 クロスオーバー・スポーツ・エステートには似合わないかもしれないが、どうかセダンだけでも、和を感じさせるスイングレジスターの搭載を期待する。

 今後、クラウンは世界の名車になっていくはず。その中には日本人の感性を、そっとどこかに残しておいてほしい。

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