9代目クラウン
平成最初のクラウンが1991年10月にベールを脱いだ9代目のS140系だ。この代の時に上級の「マジェスタ」を兄弟車として設定した。9代目は初めてモノコックボディと4輪ダブルウイッシュボーンのエアサスペンションを採用し、注目を集めている。
また、4ドアハードトップはワイドボディになり、押しの強いデザインが話題をまいた。マジェスタは4LのV8エンジンが主役だ。クラウンは新世代の直列6気筒で、2.5Lと3Lを主役としている。電子制御5速ATを採用したのも、この9代目からだ。
今につながる意欲作だったが、バブルが弾けたこともあり、販売は今一歩にとどまっている。エクステリアもインテリアも新しさを感じるが、保守的な考え方のクラウンユーザーは戸惑ったようだ。
特に真っ赤なガーニッシュを通したリアコンビネーションランプは不評だった。そのため、登場からわずか2年で大がかりな化粧直しを行い、プレスラインまでも変えている。リアビューはモデルチェンジ級の変更だ。
この9代目クラウンはバブルの絶頂期に開発されたからインテリアなどの質感は高いし、快適装備も充実していた。
また、運転しても楽しい。ハンドリングは軽快感があり、乗り心地もよかった。隠れた名車である。
7代目アコード
ホンダの屋台骨を支えた上質なファミリーカーがアコードだ。バブル期に開発された5代目からバトンを受け、1997年に登場した6代目アコードは「国内ベスト」を掲げ、主役のセダンは小型車枠のボディサイズに戻している。
この大胆な方向転換が功を奏し、6代目アコードは思わぬヒット作となった。そして21世紀になった2002年秋、ガラリとコンセプトを変えた7代目のアコードを投入する。
アコードは日米欧の3拠点で生産されている世界戦略車だ。だから再びワイドボディを採用し、エンジンも2Lと2.4LのVTECエンジンに引き上げた。世界戦略車だから質は高く、ハンドリングも洗練されている。路面に吸い付くような優れた安定性を身につけ、乗り心地もよかった。
また、2LのスポーツVTECエンジンを積むユーロRはパワフルだ。6速MTの採用と相まって高回転は刺激的だし、ハンドリングも軽やかだった。
だが、2Lの標準エンジンはパンチがなかったし、デザインもコンサバすぎたからアコード派はなびかなかった。販売は月に3桁レベルで推移し、不人気車のレッテルを貼られている。
だが、大人っぽい走りで後席も快適だ。乗ればいいクルマだったのである。
3代目インプレッサWRX STI
2007年秋に2度目のモデルチェンジを行い、登場したのが3代目のインプレッサだ。最初はハッチゲートを持つ5ドアだけが登場し、1年後にセダンを追加。
そのフラッグシップとして送り出されるのがWRX STIである。それまではセダンボディだったが、3代目は5ドアボディを身にまとって登場した。
エクステリアはWRX STIの名にふさわしい機能美を見せている。ワイドフェンダーの採用によって全幅は55mm広げられ、トレッドも広げられたから視覚的な安定感も増した。STIは専用デザインのバンパーを採用し、フロントマスクも精悍だ。タイヤも太い。
メカニズムは信頼性の高いものを受け継いでいる。パワーユニットはEJ20型水平対向4気筒DOHCにIHI製ターボの組み合わせだ。DCCSを始めとする4WDの制御システムは正常進化している。
が、ホットハッチより硬派の4ドアセダンというイメージが強かったし、インテリアもコストダウンが分かるくらい安っぽかった。インパネは樹脂だし、MOMO製の本革ステアリングの設定もない。
また、ボンネットはダンパー付きで軽く開け閉めできるが、アルミ製じゃなかった。サスペンションのパーツなどもアルミ部材を減らしている。
そのため販売は伸び悩んだが、ステアリングを握ると不満は吹っ飛ぶ。意のままの気持ちいい走りを味わえ、コントロールできる領域も大きく広げられた。
リアのスタビリティ能力は際立って高く、コントロール性も素晴らしい。しかも思いのほか乗り心地もいいのだ。剛性も高いから、速い走りでも安心感がある。
エンジンは8000回転のレッドゾーンまで軽く吹き上がり、加速Gは強烈だ。6速MTは剛性感が高められ、シフトフィールも小気味よいなど、素性のいいホットハッチなのである。
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