■ラリーでも活躍した「浜松の韋駄天」
最高出力は125ps/6800rpm、最大トルクは15.1kgm/4800rpmだ。トランスミッションは5速MTと4速ATを設定し、5速MTは2速から5速までのギアをクロスさせて、全域で力強さを増した。
ボディも剛性アップし、サスペンションは新設計だ。フロントはマクファーソン・ストラット、リアはスズキとしては初めてトーションビームを採用した。ダンパーはテネコが手がけたモンローブランドで、ブレーキは4輪にディスクをおごっている。
開発時に、ヨーロッパの道路を徹底して走り込んだからハンドリングはスポーティな味わいだ。コントローラブルで、狙ったラインに乗せやすい。後期型では足に改良を加え、挙動安定制御システムのESPも標準装備とした。走りの質感が高く、コスパも優れていたから新しいファンの開拓にも成功したのだ。
●初代の特徴
鍛造ピストンを採用し高圧縮化/テネコ社製ダンパーを採用しサスも専用セッティング/4輪ディスクブレーキ化/車体剛性アップ。
・全長×全幅×全高:3765×1690×1510mm
・ホイールベース:2390mm
・車重:1060kg(5MT)
・排気量:1586cc
・エンジン形式:直列4気筒DOHC
・最高出力:125ps/6800rpm
・最大トルク:15.1kgm/4800rpm
・トランスミッション:5MT/4AT
■最後のNA搭載スイスポ、各部正常進化!
それからモデルチェンジで「ZC32S」にバトンタッチするのは2011年11月だ。先代の評判がよかったため、デザインもメカニズムもキープコンセプトで登場した。エクステリアは大開口の逆台形グリルが特徴で、タイヤとホイールは17インチサイズになる。
インテリアは、マルチインフォメーションディスプレイを組み込んだシルバーリング付きのメーターが特徴だ。プッシュスタート、クルーズコントロール、専用スポーツシートなども採用し、利便性を高めたこともアピールした。
M16A型直列4気筒DOHCエンジンは吸気VVTのバルブリフト量を増やし、新たに可変吸気システムも導入する。また、冷却システムも改善した。
きめ細かい改良により、最高出力は先代より11ps引き上げられた136ps/6900rpmに、最大トルクも16.3kgm/4400rpmに引き上げられている。待望の6速MTに加え、7速パドルシフト付きCVTが登場したのも話題となった。
サスペンションの基本設計は同じだが、剛性アップとサスペンションの改良、軽量化などによって気持ちいい走りに磨きがかかった。また、乗り心地も向上させている。
●2代目の特徴
可変吸気システムを採用し低・中速域のトルクを上昇/先代と比べて11psアップの136psを達成/6MT採用など……
・全長×全幅×全高:3890×1695×1510mm
・ホイールベース:2430mm
・車重:1050kg(6MT)
・排気量:1586cc
・エンジン形式:直列4気筒DOHC
・最高出力:136ps/6900rpm
・最大トルク:16.3kgm/4400rpm
・トランスミッション:6MT/CVT
■ターボ化とワイドトレッドでスイスポの走りは新次元へ
そして現行型の「ZC33S」が登場するのは2017年9月だ。最大のニュースは、トレッドを広げるためにフェンダーを膨らませて全幅を1735mmとしたことである。初めて3ナンバー枠に踏み込み、同時にパワーユニットも刷新した。
選んだのはブースタージェットと名付けた1371ccのK14C型直列4気筒DOHC直噴ターボだ。
最高出力は140ps/5500rpmだが、最大トルクは23.4kgm/2500〜3500rpmに増強され、刺激的な加速を楽しめるようになった。6速MTは小気味よくシフトでき、CVTからダイレクト感の強い6速ATに変わったから2ペダル車も走りは痛快。
ターボの搭載もあり、モンロー製ダンパーなどの味付けも変えた。切れ味鋭いハンドリングを損なうことなく、意のままに操れる領域を広げている。一連の動きはリズミカルで、懐が深い。デュアルセンサーブレーキサポートや車線逸脱抑制などをセットにした。
代を重ねるごとに進化を遂げ、操る楽しさを追求してきたホットハッチ、スイフトスポーツのさらなる進化を大いに期待したい
●3代目の特徴
エンジンは1.4Lターボ化/HEARTECT採用により車重は970kgまで減量。1tの壁を切る/ワイドトレッド化など……
・全長×全幅×全高:3890×1735×1500mm
・ホイールベース:2450mm
・車重:970kg(6MT)
・排気量:1371cc
・エンジン形式:直列4気筒DOHCターボ
・最高出力:140ps/5500rpm
・最大トルク:23.4kgm/2500-3500rpm
・トランスミッション:6MT/6AT
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