■実は日本以上に厳しい中国での外資工場の環境条件
TEINでした。その工場は北京と上海の中間くらいの位置にある。周辺は鰻の養殖池が多い。日本で言えば浜松のようなイメージか。中国の工場といえば排気ガスをまき散らし、汚い水を川に流しているイメージを持つけれど、工場を案内してくれたTEINの藤本吉郎さんによれば「外資の工場だと日本以上に厳しい条件をクリアしなければなりません」。話を聞いて驚く。
電力は工場建屋の屋根だけでなく、建屋と建屋の間や駐車スペースまですべて太陽光発電パネルを設置。1日1万kWhを発電するという。天気のいい日中は使い切れないため売電までしているという。
生産されるダンパー1本あたりの二酸化炭素排出量は2016年比で55%も減った。もちろん汚染された水は工場から出さず、リサイクルも徹底的に行っている。日本より進んでいるかもしれない。
■作業レベルに差の出る溶接などの工程はオートメーション化
気になる品質だけれど、興味深いことに日本と同じだけコストをかければ日本より優れた製品が作れるようだ。
具体的に言えばダンパーで最も大切なピストンロッドは、材料を10回も総研磨して精度を追求したうえ、さらにフリクションが少なくなるクロスハッチ加工までしている。そのうえで硬質クロムメッキを施す。ザックスと同じレベルの手をかけた作り方をしてます。
作業レベルに差が出てしまう溶接のような工程はすべて自動化。中国人の気質なのか、転職者が多いらしい。熟練工が辞めると影響が大きい。そんなことから練度が必要な工程はすべて自動化。
人間が行う作業は半日研修を受けただけでできる内容になっている。藤本さんによれば、「中国だけでなく、インドに代表される新興国でもウチの工場なら優れた製品を安定して作れます」。
TEINのショックアブソーバーは性能を考えれば割安だと思う。車高調だってリーズナブル。なのに、品質は競合する製品を圧倒している。実際、中国工場で生産したダンパーを装着したクルマに試乗してみたけれど、これを純正ダンパーにしたほうがいいんじゃないかというものばかり。
TEINの中国の工場を見て「なるほど!」と思った次第。こういうモノ作りも面白いです。
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