昔教わった「ポンピングブレーキ」意味なし? 意外とできない全力ブレーキの踏み方

全力ブレーキには、それなりの運動能力も必要

 そのほかにも、ドライバーの運動能力の問題ということもあります。数年前、とあるテレビ番組で高齢者の運転講習会のようすが報じられていたなかで、急制動の訓練を受けている高齢男性は、停止位置を大きく超えても止まることができていませんでした。運転訓練ですので、ブレーキを踏み始める位置や目標停止位置は事前に分かっていたはずなのですが、それでもブレーキを踏み切れていないようでした。

 その高齢男性がブレーキを踏み切れなかった原因としては、シートベルトをし忘れていたという初歩的な間違いのほか、適切なドライビングポジションが取れていなかったこと、また自分が思っていたよりも踏力が衰えていたことなどがあったようです。「いざとなったら全力ブレーキぐらいできるでしょ」という思い込みは、悲惨な事故に繋がっていきます。クルマを安全に運転するには、判断力とともに、とっさのときに対応できる運動能力も必要であることは、忘れないようにしなければなりません。

 ちなみに、教習所で習った「ポンピングブレーキ」は、後続車に「ブレーキを踏んでいますよ」と伝えるためのほか、滑りやすい路面で急制動する際にタイヤをロックさせないためのものです。いまでも、後続車に自車がブレーキを踏んでいることを伝えるという意味では必要ですが、滑りやすい路面での急制動のシーンでは、ABSが当たり前に装備されているいまのクルマでは、ポンピングブレーキは必要ありません。

クルマを安全に運転するには、判断力とともに、とっさのときに対応できる運動能力も必要であることは、忘れないようにしたい(PHOTO:Adobe Stock_Lumos sp)
クルマを安全に運転するには、判断力とともに、とっさのときに対応できる運動能力も必要であることは、忘れないようにしたい(PHOTO:Adobe Stock_Lumos sp)

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 全力ブレーキに関しては、「いまのクルマは緊急時被害軽減ブレーキがあるし、そこまで必要じゃなくないか!?」というツッコミもあるかと思いますが、より安全にクルマを運転するには、こうした先進技術を活用しつつ、ドライバーの運転技術も磨いていくことが重要。いざというときの備えとして、ぜひ意識しておいてほしいものです。

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