電気自動車(EV)の世界では、内燃機関自動車では使わなかった用語に出くわすことがある。そのひとつが「フランク」という言葉。EVユーザーは普通に使っているのだが、いまイチ意味が分からない。そんな謎用語「フランク」について調べてみた!
文/ベストカーWeb編集部、写真/Adobestock(トビラ写真=ykokamoto@Adobestock)ポルシェ、テスラ、ボルボ、フォード、ベストカーWeb編集部
■「率直」という意味でもフランクフルトソーセージでもない!
電気自動車に乗ると、それまであまり気にしなかったことが気になりだす。目的地の標高とかオームの法則とか、充電中の暇つぶしだとかだ。
EV独特の用語もいろいろ出てくるのだが、先日、頭を捻ったのが「フランク」という言葉。「率直な」という形容詞か、フランクフルトソーセージの略称かと思ったが、明らかに文脈と合わない。いったい「フランク」ってなんだ?
いきなり正解を述べると、これ「フロントにあるトランク」のこと。略して「フランク(frunk)」なのだ。
なんでEVにはフランクがあるのか。単純にいえば、フロントのボンネット下に収まるエンジンがなくなったから、そこを収納スペースにしたということになる。
とはいえ、内燃機関車とプラットフォームを共用してきた「旧世代EV」は、そこにモーターやインバーターを搭載するため、フランクを作ることは難しかった。フランクの名を一躍広めたのは、モーターを車軸などと一体化させてボンネット内から追い払ったテスラだろう。
正確に言えば、フランクはEVだけの装備ではない。リアエンジンのポルシェ911やミッドシップ系スポーツカーなどは、旧くからフランクを備えていた。とはいえその存在がマニアックだったために、フランクを流布させるまでには至らなかった。フランクという言葉が広まったのは、EVが普及しつつあることの表れかもしれない。
テスラ以外にフランクを搭載するクルマだが、じわじわと数を増やしている。ポルシェ タイカンにヒョンデ アイオニック5(RWDのみ)、ボルボC40リチャージ、GMCのハマーEVなどが挙げられるが、同じヒョンデのコナ・エレクトリックなどは、プラットフォームをエンジン車と共用するにもかかわらず、フランクを付けるという念の入れよう。フランクはEVの人気装備になりつつあるのかもしれない。
実際、フランクの活用をうまく利用している例もある。それがフォードのマスタング・マッハE。SNSなどでは、フランクにそのまま氷をぶち込んで、飲み物を冷やしたりシーフードを並べたりしているのだ。マッハEのフランクには排水溝が設けられてから、貯まった水も気にならないのだとか。
いっぽう日本勢に目を向けてみると、フランクを搭載するクルマはまだ見当たらない。リアに広大なラゲッジがあるのに、フロントボンネットを開けても収納スペースがある。EVならではこの驚きを、早く実現してもらいたい。
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