■シトロエンは主役ではなく媒介になる
みんなが所定の位置にクルマを止め、日除けテントを広げ、フリーマーケットの品物を並び終えた朝9時、いよいよミーティングの開会が宣言された。
会場のヘソに設けられたステージに、ステランティス ジャパンの打越晋社長が立つ。「先日、旧友でもあるシトロエンCEOから『君の最大の使命はシトロエンオーナーの笑顔を一人でも多く増やすことだ』と言われました。それを聞いて私は『ああ、これならシトロエンは大丈夫だ』と思った。まさに今日が、皆さんの笑顔を増やす1日です」と述べ、会場から喝さいを浴びた。
ミーティングは、位山交流広場をフルに使って行われた。広大な駐車場には年代ごとに車両が区分されて配置されるいっぽう、フリーマーケットエリアや最新モデルに乗れる試乗ブースも設けられている。近年の大ヒット作であるベルランゴはこのクルマだけでエリアが設けられ、100台以上がずらりと並ぶ威容が眺められた。
緑が美しいゲレンデ広場のほうには、ドッグランやキッズパークなども設けられ、家族や友人同士がアウトドアを1日楽しめる趣向が凝らされている。打越社長の言う通り、シトロエンが主役ではなく、笑顔を作る「媒介」になっているのだということが実感できた。
■新たなシトロエンファンが生まれそう
主催元のステランティス ジャパンによれば、100年超の歴史を持つシトロエンにふさわしい伝統的な場所で、関東や中京、関西などに偏らず、どこからでも集まれる場所として、岐阜県高山市を選んだという。実際、参加者のナンバーを見てみると、東京や大阪はもちろん、香川や鳥取といった「長距離遠征組」もおり、狙いが当たっていると感じた。
ロングドライブとなると、希少なオールドシトロエンたちが大丈夫なのか気になったが、何人かに尋ねてみてもまったく問題ないという回答が多かった。
たとえば東京から2CVで参加した方は、峠道は避けて、高速道路主体のルートを選ぶようにしているが、高速では問題なく100km巡航もこなすとのこと。同様に大阪から来たアミ6のオーナーは、シンプルな作りなのでまったく壊れない。電子化が進んだ現代車より壊れないんじゃないかと答えてくれた。
旧いシトロエンのオーナーたちは、フレンチブルーに代表されるフランス車系のイベントに古くから参加してきた方が多く、メンテナンスやトラブルに関しても多くの知見が共有・蓄積されていることが実感できた。
いっぽう2010年代以降のモダンシトロエンに乗られているオーナーは、「ミーティング参加は初めて」という方が多かった。
とはいえ1日をここで過ごして、「同じクルマに乗る人どうしが集まると楽しい」と実感された人が多く、こうした人たちが「シトロエン沼」にハマって、新しい化学変化を起こせば、シトロエンはもっと楽しいブランドになるだろうと感じた。
ステランティス ジャパンの打越社長によれば、このイベントを5年、10年、20年続くものに育てたいとのこと。日本アルプスの風光明媚な町から、シトロエンの新しいストーリーが生まれるかもしれない。シトロエニストの皆さん、また高山でお会いしましょう!
【画像ギャラリー】日本のシトロエン史に新しいページを刻んだシトロエニスト・ランデブーの1日(28枚)画像ギャラリー
コメント
コメントの使い方