クルマ界の未来をトヨタが変える!? バイポーラ型リン酸鉄リチウム電池とギガキャストなど最新技術公開!!

■一体成形で部品数と工程、コストを減らしてくれるギガキャスト

トヨタが2022年から試作を開始してきたギガキャスト。今や市販車レベル一歩手前くらいの品質になっている
トヨタが2022年から試作を開始してきたギガキャスト。今や市販車レベル一歩手前くらいの品質になっている

 同じくらい感心したのがギガキャスト。例えば、bZ4Xのリアセクションは86もの部材を組み合わせて作っている。組み立て工程だって33と多い。それがギガキャストで一体成形してしまえば、部品数1で工程1に!

 参考までに書いておくと、80%も原価コストを下げられるうえ、生産工程だって短くできる。さらにアルミ素材のため、リサイクルは簡単。リサイクルに必要なエネルギーも電気でOK。

 とはいえギガキャストは技術的に難しいと思われてきた。実際、テスラも大量の不良品を出すなど苦労しているようだ。トヨタは2022年から試作を開始。最初のロットこそ使い物にならないレベルだったそうだが、3カ月後に作った2次試作で一気に不具合箇所を減らし、今や市販車レベル一歩手前くらいの品質になっているという。今回、その生産工程を見せてくれた。

bZ4Xを含む次世代BEVの実証ライン
bZ4Xを含む次世代BEVの実証ライン

 溶けたアルミを鋳型に押し込む時間は瞬時。「ドン!」という音を伴い、4000トンのチカラで受け止める。すぐに冷却して金型から取り出すと、あっという間に86パーツ必要だったbZ4Xのリアセクションが完成!

 技術者に聞くと、「今まで培ってきたエンジン鋳造の技術などを使うことにより、思ったより早い時間で開発できています」。ギガキャスト、2026年に発表予定の電気自動車に使われる。

 ギガキャストはフロントセクションにも使われる。すなわち2026年の次世代電気自動車は、ギガキャストを使うフロントセクションとリアセクション、そしてバッテリーを搭載するセンターセクションの3分割になっており、それを結合させる生産工程になる。接合した段階で自走が可能になるため、自ら動いて部品を組み付けていくという。今までとはまったく違う生産ラインになるだろう。

 クルマを生産ライン上で動かすシステムが不要になるため、工場フロアの構造物はいらない。クルマが自ら動くため、組み立てライン終了後、検査工程も自動で通過し、さらにクルマを目的地に運ぶためのデポまで自走するようになるという。

■2026年に発表予定の次世代EV登場が今から楽しみだ!

2021年12月にトヨタとしてBEVの戦略について大々的に発表した当時の豊田章男社長だが、2026年発表予定の次世代EVで中国勢にも負けない生産コストを実現か?
2021年12月にトヨタとしてBEVの戦略について大々的に発表した当時の豊田章男社長だが、2026年発表予定の次世代EVで中国勢にも負けない生産コストを実現か?

 結果的に生産コストを大きく引き下げられることだろう。そのほか、生産効率を高めながら品質も向上させる技術が数多く出展されていた。

 これらの技術をすべて投入する2026年発表の次世代電気自動車は、中国車と比べても優位な生産コストを実現しながら、高い性能を持つ電池を搭載し、圧倒的な品質を実現しようとしている。

 エビデンス(証拠や裏付け)は充分。少しばかりクルマに詳しい自動車評論家から見れば「心強いですね!」。むしろ、トヨタを除く日本の自動車メーカーは大丈夫かな、と強く思った次第。

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