国内専売モデルから生まれ変わった「新しいセンチュリー」はグローバルで果たして売れるのか?

■新型センチュリーの価格2500万円はリーズナブル?

こちらはロールスロイスカリナン。やはり同ブランド初のSUVとして誕生した
こちらはロールスロイスカリナン。やはり同ブランド初のSUVとして誕生した

 そんなベンテイガやカリナンの購入を考えるユーザーにとって、センチュリー(新モデル)の価格2500万円は「リーズナブル」という印象を持つのではないだろうか。

 この点について、発表会見後の囲み取材で、筆者はトヨタ副社長でCTO(チーフ・テクニカル・オフィサー)の中嶋裕樹氏に「このクォリティで2500万円は安過ぎませんか?」と聞いた。

 むろん、2500万円という値付けは、日本車としては最上級クラスであるが、実質的な競合車をベンテイガやカリナンとすれば、例えセンチュリー(セダン)の2080万円を基準とする必要があったにせよ、富裕層向けの価格としては安く感じたので、そんな質問をした。

 これに対して中嶋氏は苦笑いしながら「2500万円と言っても、こうしたクルマをお買い上げになる方は、さまざまなカスタマイズのご要望があるモノと考えていますので、最終的にはそれなりの価格になるものと認識しています」と回答するにとどめた。

■月間30台の生産台数というのは……

田原工場での月産台数はわずか30台という新型センチュリー
田原工場での月産台数はわずか30台という新型センチュリー

 そのうえで、気になるのは月30台という生産台数だ。

 国内市場を念頭に置いたセンチュリー(セダン)であれば、こうした数字は理解できるが、センチュリー(新モデル)は「グローバルに展開する」(中嶋氏)という、まさにグローバルモデルとして設定しており、そうなれば月30台では、かなりの長納期になってもおかしくはないのではないだろうか。

 受注状況によっては、田原工場でのセンチュリー(新モデル)専用組立エリアを拡大するか、または元町工場のセンチュリー(セダン)組立エリア、またはほかの工場での対応を検討するといった、トヨタにとっての嬉しい悲鳴が聞こえてくる可能性は充分にあるように思う。

 センチュリー(新モデル)の基本構造は、TNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)のGA-Kプラットフォームであり、FF(前輪駆動)向けとして生産規模はそもそも大きい。

 また、パワートレーンの「2GR-FXS 3.5L」と電動四駆である「E-Four Advanced」についてもほかのモデルとの共通性によって、センチュリー(新モデル)に対する安定した部品供給が可能なはずだ。

 そのうえで、最も工数がかかるのが、職人技で仕上げる加飾部品などであろう。

■期待される仕向け地は?

豪華で手間のかかる誂えとなっている新型センチュリーのインテリア
豪華で手間のかかる誂えとなっている新型センチュリーのインテリア

 では、センチュリー(新モデル)はどのような市場で人気になるだろうか。

 簡単に、SUVトレンドの背景を振り返ると、1990年代半ばにジープチェロキー、GMシボレータホ/サバーバンなどがトリガーとなり、SUVブームが発生。2000年代に入ると、BMW X5に次いでポルシェカイエン、メルセデスベンツMLクラスなど欧州メーカーがSUVに参入し、これを日系プレミアム系のレクサス、アキュラ、インフィニティが後追いする流れに発展した。

 こうしたアメリカ発のSUVトレンドが欧州や中国に伝播していったが、センチュリー(新モデル)では米中が均等に伸びるように思える。特に、中国の若い富裕層からの高い指示が見込まれるだろう。

 また、ランドクルーザーの需要が高い中東各国でも、広い世代の富裕層に受け入れられそうだ。むろん、日本でもベンテイガやカリナンなど若き所有者の「買い換え」や「買い増し」が考えられる。

 いずれにしても、月30台という生産設定は「少な過ぎる」印象がある。センチュリー(新モデル)を求める声はグローバルで数多いはずだ。

【画像ギャラリー】ベントレーベンテイガとロールスロイスカリナンには負けない? 新しいセンチュリーはグローバルでも売れるのか?(17枚)画像ギャラリー

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