いまや世界的に大人気のSUV。このトレンドを遡ると、’80年代に巻き起こったRVブームがある。しかし、いつしか「RV」から「SUV」に呼び方も変わり、主流はよりカジュアルに楽しめる「シティ派SUV」になった。そのなかから、マーケットに大きな影響を与えたモデルを紹介する。
文/木内一行、写真/トヨタ、日産、ホンダ、マツダ
■高級クロスオーバーを浸透させたシティ派の代表格「トヨタ・ハリアー(初代)」
世に中に大きなインパクトを与えたのは、なんといっても1997年にデビューした初代ハリアーだ。
メーカー自ら「高級サルーンの基本性能を備えたラグジュアリーSUV」と謳うように、そのキャラクターは完全にオンロード寄り。
泥臭さを感じさせる従来のSUVとは異なり、無骨なイメージを払拭したスタイリングや高級車の価値を表現したインテリアは、都会的という表現がピッタリなのだ。それは「WILD but FORMAL」というキャッチコピーからも想像できるだろう。
デビュー翌年には北米でレクサスブランドの「RX」としてデビューし、瞬く間に人気車種の仲間入り。高級クロスオーバーSUVのパイオニアとして、その後のマーケットに大きな影響を与えた。
ちなみに、フォーマルな装いをしたライオン顔の紳士が登場するCMを覚えているだろうか。ハリアーそのものよりも、そのCMの世界観に度肝を抜かれた人も少なくない!?
■斬新なルックスで話題沸騰、個性が強すぎたワゴン風SUV「ホンダ・HR-V」
ハリアーでその地位を確立したシティ派SUVは、その後さまざまなモデルがリリースされた。ホンダのHR-Vもそのなかの1台で、個性のカタマリのような存在だった。
ワゴンのようなフォルムの3ドアボディは、全高を抑えながら地上高を確保し、大径タイヤを装着。
これにより、SUVっぽさを演出しながら斬新なスタイルに。インテリアも2トーンカラーを採用するなど遊び心たっぷりで、若者をターゲットにしたことがはっきりと見てとれる。
ただ、見た目はSUVっぽいものの、シャシーはコンパクトカーのロゴと共有だし、4WDシステムも通常はFFで走行してスリップを感知すると後輪にもトルクを伝達するスタンバイ式を採用。
そのため本格的なオフロード走行は苦手で、コンパクトなボディを生かして街中をキビキビ走る方がお似合いなのである。
HR-Vのアピールポイントはなんといっても唯一無二のスタイリング。時代を先取りした、アバンギャルドな存在だったのだ。
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