■クロスオーバーのイメージを変えたベンツ
欧州車の動向も見逃せない。欧州は走行速度が高く、安定性が重要になる。そのために以前は、重心の高いSUVやクロスオーバーをほとんど開発しなかった。
それが2000年頃から急に増え始めた。北米での需要が多く、技術進歩によって走行安定性の不安も解消されたからだ。メルセデスベンツなどの上級ブランドにも、伝統的なフロントマスクを備えるクロスオーバーが用意された。
●価格差90万円でクロスオーバー メルセデス・ベンツ・GLA
こうなるとクロスオーバーのイメージも変わる。それまでは登山に使うトレッキングシューズを街中で履くような新しい感覚だったが、メルセデスベンツなどが参入すると、フォーマルな価値観も加わる。クロスオーバーがオーソライズされて格付けも高まり、人気はさらに加速した。
特に中国でもクロスオーバーが人気を高め、世界的な潮流に発展していく。個人的にはSUVとかクロスオーバーが最も似合わないと思っているロールスロイスまでカリナンを発売した。
●クーペボディが新時代をアピールする ポルシェ・カイエンクーペ(スポーツカー + SUV)
●BMW・X6(スポーツカー + SUV)
●もはや何でもありのMINI軍団です ミニ・クロスオーバー(MINI + SUV)
●スーパーカー世代もびっくり! ランボルギーニ・ウルス(スーパーカー + SUV)
このようにクロスオーバーが人気を得た背景には、車両企画の行き詰まりもある。
セダンは日本だけでなく海外でも旧態依然とした存在になりつつあり、フォードはセダン市場から撤退する。ワゴンも低重心が好まれる欧州以外では車種数が減った。
スポーツクーペは、フォードマスタング、シボレーカマロ、ダッジチャレンジャーなどが初代モデルに回帰した外観になり、この時代を知る中高年齢層をターゲットにしている。ピックアップトラックは、北米やアジアでは人気が根強いが、世界的に販売できる商品ではない。
●おしゃれな人注目 シトロエン・C3エアクロス
●パンダにもクロスオーバー登場 フィアット・パンダクロス
●ゼロが増えるとオフロードテイストになる プジョー・3008
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