ただ、いまも必要なクルマも
しかしながら、「レヴォーグ」や「WRX」、「レイバック」など、既存の水平対向エンジン+シンメトリカルAWDを採用しているスバル車の場合、エンジンが低い位置にレイアウトされているため、前(グリル)から取り込む空気だけでは不十分で、上方からも空気を取り込みインタークーラーに当てて冷却する必要がある。
他のクルマのように、ラジエーターとインターク-ラーをフロントに並べる構造とすればエアインテークを無くせるはずだが、オーバーハングに重量物を積むのは、スバルとしては許しがたいのだろう。スバル車のボンネットの大きなエアインテークは、もはやスバルのアイコンともいえ、空気抵抗になっているとわかっていても、外すことは難しいのかもしれない。
同じような理由で、日産「GT-R」やトヨタ「GRカローラ」など、スポーツカーには今後も空気抵抗が小さく済むコンパクトなエアダクトは残されると思われる。廃熱効率のためという面もあるが、高性能車の証として、エアインテークを求めるユーザーは少なくないためだ。
空力設計は、すでに次の段階へ
ボンネットのエアインテークからはすこし話がそれるが、空力設計がらみとして、2022年3月にロータスが発表したバッテリーEVのSUV「エレトレ」が、空力的に面白い構造なので紹介しておきたい。
エレトレには、「ポロシティ」と呼ぶ、ボンネット上部にフロントグリルと繋がった2つの穴がある。フロントで受けた気流をここから排出し、車両の上側へと流して空気抵抗を下げ、航続距離やダイナミクスを改善する役割を担っているという。また、フロントホイールアーチの前方や後方、リアホイールの後方にも、空気の通り道が設けられている。さらにDピラー上部には、フローティングピラーを導入し、サイドガラス表面を流れてきた気流を、3段階で可変するアクティブテールゲートスポイラーに導き、リアの空気抵抗とダウンフォースを稼ぐという。
旧来からのエアインテークの役目とは異なるが、燃費(電費)改善のための見えない空気をどう味方に付けるのかは、各メーカーのエンジニアリングの腕の見せ所だ。エアインテークに代わる構造が日本の自動車メーカーからも登場するか、次世代の空力技術の登場も非常に楽しみだ。
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