【番外コラム】 年代別国産ベストターボ
(TEXT/片岡英明)
●1980年代
最初の作品となった430系セドリック/グロリアは「省燃費ターボ」をアピールしたが、すぐにパワー競争が激化する。
「ドッカンターボ」の弱点を消すためにノックコントロール機構を採用し、熱による性能低下を防ぐため、インタークーラーも装備した。
この直後に可変フラップ付きのジェットターボやツインスクロールターボも登場し、タービンの材質にも革新が相次いだ。
そんな1980年代で最も刺激が強かったのはR30型スカイラインの2000RSターボである。DOHC 4バルブにインタークーラーターボを組み合わせ、205psを発生した最終型のFJ20ET型エンジンはターボラグもあり、なんとも荒々しい。
R32型GT-Rに積まれたRB26DETTもパワフルだが、6気筒だからジェントルな味わいだ。
ハンドリングは洗練されていないが、力でねじ伏せる楽しさに満ちていた。F1の技術を用いたシティターボIIも同様だ。シビれる豪快な加速とスリリングなハンドリングがターボの存在感を際立たせていた。
●1990年代
最高出力の自主規制が敷かれ、軽自動車は上限を64psに、登録車も280psにとどめられたのが1990年代だ。
そのため最大トルクを増やすことに力を注いでいる。この分厚いトルクを支配下に置くために4WDが主役に躍り出た。
フルタイム4WDに2LのDOHCターボを組み合わせたランサーエボリューションとインプレッサWRX STiは相次いで280psレベルに到達し、猛々しい加速を見せている。
なかでもインプレッサWRX STiのEJ20型水平対向4気筒ターボは高回転までストレスなく回り、今のクルマと違って軽量ボディだから加速も冴えていた。
4WDはメカニカルタイプだから繊細な運転を要求される。だが、意のままに走らせるようにする楽しさは格別だった。
世界初の3ローターロータリーを積むユーノスコスモのツインターボは異次元の上質なパワーフィールだった。ただし、燃費は悪かった。
コスモはシャシー性能が高かったから、山岳路でもフットワークは軽やかだった。
●2000年代
21世紀は地球に優しいエンジンが望まれる時代だ。だから近年はダウンサイジングターボが主役となっている。
環境性能を重視し、排気量も2L以下の4気筒ターボが多い。また、直噴システムを採用するターボエンジンも21世紀の潮流となっている。
そんな環境も考慮した21世紀らしいターボエンジンを探すと、真っ先に思い浮かぶのはホンダNSXが積む3.5Lの「V6ツインターボ+モーター」のハイブリッドだ。これぞ21世紀のターボといえる。
しかしこれは2010年代のクルマで、2000年代には存在しなかった。よって2007年に登場した日産GT-Rを選ぶことにする。
3.8LのV6ツインターボはパワフルで、しかも過激だ。荒々しかった乗り味も年々改良されていった。
また、三菱のランサーエボリューションXが積む2Lの直4ターボも好印象だった。
ツインクラッチSSTとの相性もよく、リズミカルな変速を楽しめる。ハンドリングは今でも充分、通用するレベルにあった。
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