大盛況に終わったジャパンモビリティショー2023。さまざまなコンセプトカーが各メーカーから発表され、大いに沸き立ったが、その開催前である2023年9月25日、日産はとあるコンセプトカーを発表している。ロンドンにある日産デザインヨーロッパ(NDE)の設立20周年を記念したEVコンセプトカー「コンセプト20-23」だ。
文:立花義人、エムスリープロダクション
写真:NISSAN
「ロンドンで運転したいクルマ」をデザインしたもの
「コンセプト20-23」は、同センターの若手チームが「ロンドンで運転したいと思うようなクルマをデザインする」というシンプルな指示のもと、それ以外の制約なくデザインをしたというコンセプトカーだそう。車名の「20-23」は、NDEのロンドンにおける20年の歴史、そして日産の伝統的なナンバー「23(ニッサン)」、そして今年が2023年であることに由来しているそうだ。
ヨーロッパではコンパクトカーの人気が高い。NDEの拠点となるロンドンもそうだが、中世の歴史を感じさせる複雑で入り組んだ道路構成と、びっしりと路上駐車された風景は、ヨーロッパの風物詩となっているが、そんな状況ではコンパクトカーがやっぱり便利だ。それでいて重厚感のある街並みにも映えるセンスあるデザインも求められる。
その点、コンセプト20-23は、大都市ロンドンの市街地に溶け込む、洗練されたモダンなエッセンスと遊び心を感じさせる大胆なデザインとなっており、現代の都市生活とこれからのモビリティ社会を予感させてくれる。どことなく、欧州で大ヒットをしたコンパクトカーのK12マーチ(欧州ではマイクラ)にも似たスタイリングは、スポーティなカッコ良さと同時に可愛らしさも表現されていて、非常にいい雰囲気だ。
空力特性を意識したディテールとアイコニックな外観、レーシーなコックピット
コンセプト20-23のデザインにあたっては、日産のフォーミュラE参戦や日産の伝統的で大胆なハッチバック(マーチのことか??)を反映したうえで、オンラインレースの世界観も強く意識したという。全体としてはコンパクトで固まり感のあるフォルムではあるが、空力性能がカギとなるフォーミュラカーのように、存在感のあるフロントスポイラーの形状や大きな開口部、迫力のあるフェンダーアーチ、ルーバーやスリット、リアウィング、ディフューザーなど空気の流れを直感的に感じさせるディテールとなっている。
ヘッドライトのセクションには、細い上下の半円形で構成されたデザインが採用されており、テールランプにも共通性のあるデザインが採用されている。これらはそれぞれウインカーの役割も担っているが、ボディサイズの割に大きく、このモデルをアイコニックでインパクトのあるものにしている。
キャビンスペースへのアクセスは、ドアが真上に跳ね上がるシザーズドアによって行われ、ドア開口部には肘置き用のフォームパッドで覆われた梁が走っており、これを跨いで運転席に乗り込む。レーシーなデザインのバケットシートと、ドライバーに向かってせり出した長方形のステアリングは、さながら最新のステアリングコントローラーを見ているかのようだ。
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