マツダのラージ商品群で日本未導入となっている、3列シートSUVのCX-90。既に日本で発売されているCX-60は後ろ足の硬さがマイナスポイントとなっているが、全長5mを超える大型SUVはどうなのか?
※本稿は2023年10月のものです
文/鈴木直也、写真/MAZDA、ベストカー編集部
初出:『ベストカー』2023年11月10日号
■北米向け「CX-90」は足のセッティングが違う!?
マツダが社運を賭けたラージアーキテクチャ商品群。日本ではCX-60からリリースが始まり、唯一無二の直6ディーゼルを中心にユーザーの関心は高い。
販売面でも2023年1〜6月でみると月販平均ほぼ3000台と大健闘。まずは好調な滑り出しといっていい。
そのCX-60、本誌を含むメディアの評価で多く指摘されているのが、乗り心地(特に後席)の突き上げ感。もうちょっと足がしなやかに動いてくれたらいいのにねぇ、というのが当面の課題となっている。
そんな折、とあるメディア関係者から「北米向けのCX-90は足のセッティングがかなり違うらしいですよ」という情報。しかも、シャシー開発担当のスタッフもCX-60とは違うチームだという。
そりゃー、ぜひ一度試してみなくちゃね。というわけで(デトロイトショー取材のついでに)ロサンゼルスに降り立ったというわけだ。
試乗車として用意されたのは、CX-90 PHEV プレミアムプラス。オプション込みで約5万9000ドルという仕様だ。
円換算すると900万円近いけど、現地の人からするとドイツ御三家より2万ドルほど安いお買い得車というポジション。おかげで、実質4月スタートながら8月までに8724台を売るなど好調だ。
実車にご対面しての第一印象は「やっぱデカいなー」だ。CX-60比で、全長360mm、全幅54mm、全高60mmのプラスは、北米市場に最適化したサイズ。車重は3列シートのロングホイールベースゆえ100kgほど重くなっている。
■CX-60とはまったく異なる乗り心地と操縦性能
さて、今回のCX-90試乗のテーマは、前述のとおり「CX-60で課題だった乗り心地はどうなったか?」だが、カリフォルニア周辺を3日間1000kmほど走り回った結論を言うと「これならOK。日本仕様も早くこのレベルまで改善してほしい」というものだ。
ボディが大柄になったわりには運動性の劣化などはなく、相変わらず気持ちよくコーナーを抜けて行くフットワークは健在。
それでいて、アメリカの荒れた一般道でも乗り心地は「しなやか」と表現したい感覚で、CX-60で特に気になったリアからのガツン!は完全に解消されている。
少し気になったのは、マツダ独自のトルコンレス8ATがたまにギクシャクすること。PHEVは日本仕様でもこのへんに若干ツメの甘さを感じたが、ここは一層の努力をお願いしたいところですね。
未確認ながら、日本仕様CX-60は8月に一部改良が実施されている。日本仕様の足も熟成が進んでいるといいのですがねぇ……。
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