ネットでクルマが買える! 北米アマゾンがヒョンデの新車販売開始! 日本はどうなる? 新車ディーラーはなくなっちゃうの?

■クルマは家電とは違うのでAmazonは日本には馴じまない?

 Amazonがこうした提携を自動車メーカーと手を結ぶのはもちろん初めてのことだが、はたしてうまくいくのだろうか? 

 たしかに新車をオンラインで販売する動きは、コロナ禍によるロックダウンやEVの攻勢によって加速していく予兆がある。自動車メーカー自身もオンライン販売を模索している。

 例えば日産では2021年からアリアの一部グレードのオンライン販売を実施したほか、2023年3月から約3カ月間の試験運用となるが、メタバースによる仮想店舗「HYPE LAB」を作り、バーチャルな空間で新車販売を行っていた。

日産が試験運用したバーチャル店舗「HYPE LAB」
日産が試験運用したバーチャル店舗「HYPE LAB」

 既存の自動車ディーラー以外で新車を買える動きは、実は日本でもすでにある。ヨドバシカメラでは2021年から小型EVを販売しているし、ヤマダ電機は2010年から三菱アイミーブを販売、2023年7月からはekクロスEVとミニキャブミーブを法人向けに販売している。ヤマダ電機は、EV=家電として捉えており、今後はオンライン販売の動きが加速していけばほかの車種を扱っていくことも考えられる。

なるべく人を介さないでオンラインがメインの販売方式をとるテスラでも実車を見ることができるテスラストア(10拠点)を構えている
なるべく人を介さないでオンラインがメインの販売方式をとるテスラでも実車を見ることができるテスラストア(10拠点)を構えている

 テスラにしても、テスラストアと呼ばれる実車を見ることができるショールームはあるが、注文はあくまでもオンライン。支払いを済ませた後は、登録に必要な書類を揃えて返送し、登録しナンバーが付いたら、デリバリーセンターに引き取りに行く。あとは整備や故障などはテスラアプリからサービスの予約を行うだけ。終始、テスラのサイトにあるマイアカウントでさまざまな情報をやりとりする。

 実際にテスラを購入したオーナーに聞いたが、購入前も購入後も人があまり介在せずオンラインで行うのでまるでカメラやPCを買った感覚、なのだそうだ。

 ヒョンデの場合はまったく店舗を持たず、売買契約と決済までオンラインで完結するという、完全オンライン販売となる。購入した後、新車は購入者の自宅など購入者の指定する場所に納車され、メンテナンスについても全国の協力整備工場が対応する体制を整えている。

 つまり、あらゆる場面で人が介在する既存の新車ディーラーとは一線を画す仕組みになっており、あわよくばリアル店舗はなくてもいい、という感覚だ。実車を見ないと買う気がおきない、疑問があるとすぐ電話で聞いてしまう昭和のアナログおじさんにとっては違和感があるのではないだろうか。

 もしAmazonが日本で新車販売を行うことになったら、既存の新車ディーラーはどうなるのだろうか? Amazonがこれだけ日本人に浸透していることを考えるとたしかに脅威だが、そううまくはいかないとみる。

 筆者も欧米の新車ディーラーを取材したことがあるが、日本の新車ディーラーの営業マンは欧米とは違う。クルマはお店から買う、人から買うという言葉があるように、顧客と営業マンの信頼関係、結びつきが強いからだ。

 こうした新車販売の慣習もEV全盛時代になってくれば減っていくことを想像に難くない。まして昨今の人手不足の状況を考えると、Amazonの台頭により、新車ディーラーがなくなってしまう、ということも充分ありえるのだ。写真のように新車が入ったAmazonの巨大な箱が自宅に送られてくる、そんな時代はそう遠くはないのかもしれない。

【画像ギャラリー】Amazonがアメリカで販売するヒョンデの新車をチェック!(4枚)画像ギャラリー

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