2023年10月末から11月初頭にかけて開催されたジャパンモビリティショー。大成功のうちに幕を下ろしたが、注目されたのは自動車だけではない。住友ゴムが発表した「これまでのタイヤの常識を一変させる」新技術とは!?
※本稿は2023年11月のものです
文、写真/ベストカー編集部
初出:『ベストカー』2023年12月10日号
■路面の状況に応じてタイヤが変化?
ダンロップタイヤの住友ゴムがジャパンモビリティショーで発表した「アクティブトレッド」。これはタイヤの常識をガラリと一変させる新技術となるかもしれない。
「路面状況に応じてタイヤが最適な性能にスイッチする」
わかるようなわからないような……。
もうちょっと説明を聞いていくと、トレッドゴムの性質に秘密があるのだという。
タイヤのトレッドゴムは、ポリマーやシリカなど、さまざまな材料を配合して開発されている。
しかし、ゴムの基本的な特性として、氷上などの低温下では柔軟性を失い、硬くなってしまう傾向は避けられない。
ここでいう柔軟性というのはナノレベルの話で、路面の微細な凹凸にゴムの柔軟性によって密着することで接地面積が確保され、安定したグリップ性能を発揮することができるのだ。
特に低温時の柔軟性が問題となるのは冬場の冷たい雨で濡らされた路面や、積雪路、凍結路面だ。
低温時の柔軟性を確保するため、トレッドゴムにはシリカを大量に配合したり、柔軟性を確保する副材料などを配合するのだが、低温時の柔軟性を主軸にチューニングをすると、今度はトレッド温度が高い時にも軟らかさが出てしまい、操縦性の面でデメリットを生じてしまう。
この背反事項を解決するために住友ゴムが開発したのが「アクティブトレッド」なのだ。
■2024年秋には発売予定!!
現時点では詳細な技術ポイントは明かされてはいないが、トレッドゴムが水に触れると、ゴム内部の素材と反応して柔軟性を高める性質を持たせたのだという。
水を含まない時は一定の硬さを維持してドライ路面でのしっかり感を確保して、ウエット路面や氷雪路面で水分に触れるとゴムがソフトになり、ナノレベルで路面の凹凸にトレッドゴムが追従して密着。高いグリップ性能を発揮する、という構造だ。
何やら夢のような話だが、住友ゴムではこの「アクティブトレッド」の開発を進めており、2024年秋に発売予定の次世代オールシーズンタイヤに搭載して市販の計画だというから、夢の技術の話をしているのではない。
さらに、スタッドレスタイヤなどにも生かされていくゴム革新だ。
【画像ギャラリー】夢のタイヤが市販間近!? 住友ゴムの新技術「アクティブトレッド」をチェック!!(3枚)画像ギャラリー
コメント
コメントの使い方