いよいよ本格的に冬の季節に突入し、雪がそれほど多くない地域にお住まい方々であっても、「そろそろスタッドレスに履き替えるか」と考えている方は多いのではないでしょうか。
しかしながら、スタッドレスタイヤの性能や使い方に関しては、間違った理解をしている方も少なくないようで、街中で見かけるクルマのなかには、危険な使い方をしているクルマもあります。知らないと危ないスタッドレスタイヤの常識と非常識についてご紹介します。
文:吉川賢一
アイキャッチ画像:Adobe Stock_FRANK
写真:Adobe Stock、写真AC、DUNLOP
ノーマルタイヤとスタッドレスタイヤの違いはゴム
ノーマルタイヤ(サマータイヤ)とスタッドレスタイヤ(冬用タイヤ)の大きな違いは、ゴムの性能です。ノーマルタイヤは、ドライ路面での高速直進性やコーナリング、ショック、燃費、静粛性、耐久性、そしてウェット路面での制動能力などを追求したゴム(コンパウンド)を使用しています。
一方のスタッドレスタイヤは、圧雪路や凍結路などでも、「走る・曲がる・止まる」といった基本性能が確保されるよう、低めの温度でも硬くなりにくいゴムを使用しています。またトレッドにはサイプ(切り込み)が刻まれており、そのエッジが路面や雪を引っ掻くことで、氷上でもグリップ力が確保されます。
ノーマルタイヤで雪道を走ることは危険ですが、スタッドレスタイヤは夏場も走ることはできます。ただスタッドレスタイヤは路面温度が高いとゴムがよれる量が大きくなるため、グネグネとした走り心地になり、ノーマルタイヤと比べると、走る・曲がる・止まる性能は格段に落ちます。燃費も落ち、ロードノイズが増え、タイヤの摩耗も早く進み、ウェット路面の制動能力もノーマルタイヤより落ちる傾向にあります。一年を通してスタッドレスタイヤを履いているクルマもみかけますが、やはりスタッドレスタイヤは冬に使いたいものです。
2~3年経過したタイヤでも大丈夫
スタッドレスタイヤは、溝の深さが新品時の50%まで摩耗してしまうと、スタッドレスタイヤとしては使用できません。使用限界は、接地面の溝の中にあるプラットフォームの露出具合で判断することができます。プラットフォームは何か所かにありますが、どこか1ヵ所でも露出していたらアウトです。
スタッドレスタイヤに関しては、製造年度が2~3年前の未使用のタイヤが安く販売されていることがありますが、古くなったことで氷上制動の性能がすぐさま悪くなる、ということはありません。2018年12月~2019年2月に公正取引委員会が行った試験結果によると、日陰かつ涼しい場所で保管するなど、適切に保管されていたスタッドレスタイヤは、2シーズン前のものであっても、(その年に製造されたタイヤと)同等の性能を保っていることが確認できた、とのこと。また、ダンロップによると、ホイールをつけたまま保管する場合、タイヤ空気圧を通常の2分の1程度に減らすとなおいいそうです。
なお、スタッドレスタイヤの製造年と週の見方については、ダンロップ公式サイトによると、
2000年以降の製造番号では、下4桁(例0117)の数字で製造年週を示しています。
(ダンロップ公式サイトより引用)
最初の2桁の数字01は週(1週)を、最後の2桁の数字17は年(2017年)を意味します。
1999年以前の製造番号では、下3桁(例159)の数字で製造年週を示しています。
最初の2桁の数字15は週(15週)を、最後の1桁の数字9は年(1999年)を意味します。
とのこと。ぜひ一度確認してみてください。
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